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2010年03月 アーカイブ

2010年03月01日

たまにはこんな日もある

 テンションが低いまま、一日が終わった。といっても、特別悲しかったわけでも、苦しかったわけでもない。たぶん、いろいろ気が張っていたのが、一気に抜けたのだろう。とにかく頭が回らない。あれもこれもやらなくちゃと思っていたのに、何をやるにもいつもの倍ぐらい時間がかかる。おかげで、はんぺんを焼こうとして、間違えて熱したフライパンの上に指を置いてしまっても、しばらく気がつかなかった。

 ただ、悪いことばかりではない。こういうときは余計な雑念がないので、淡々と目の前の作業を続けることができる。取材記事は集中して書けたし、思いのほか品数の多い夕食が用意できた。普段なら見逃してしまうような汚れが気になって、つい細かいところまで拭き掃除をしてしまった。意識がないままやっていたので、あまり苦もなく仕上がった。うん、たまにはこんな日があってもいい。

2010年03月03日

いい風が吹いている

 このところ、やたらと忙しい。一気に仕事が押し寄せているようなイメージだ。うっかりtwitterに「つぶやく余裕がほしい。なんでこんなに忙しくなってきたの? 不況終わった?」と書き込んだら、とある方から「終わってないですよ」と冷静に突っ込まれてしまった。ちょっと勇み足すぎたか。

 ようやくProject Palm 2が出た。また、1と2の立ち読み版も出た。発売早々、電子書籍有料部門ランキングで5位まで上がり、嬉しい限りだ。1を読んだ方のレビューも、読んでいて胸が熱くなるものばかりだった。レビューを読みながら、この仕事をしていてよかったなぁと、しみじみ感動してしまった。

 ちょっと恥ずかしいのだが、実は私もApp storeからProject Palmを購入して読み直している。そして、改めてiPhoneで電子書籍を読む喜びを実感している。この広い画面は、電子書籍を読むのにちょうどいい。大きすぎず、小さすぎず、文字も写真もよく見える。キンドルやiPadの画面も、きっと電子書籍にむいていると思うが、気軽に持ち歩けるかというと、ちょっと難しいような気がする。携帯電話に慣れてしまうと、ポケットに入るサイズ以上のものを、持ち歩こうとは思わないものだ。となれば、今の日本社会に受け入れられる電子書籍リーダーは、ギリギリiPhoneサイズまでじゃないか。

 現在、マイカの電子書籍を少しずつiPhone用に作り直し始めている。正直、みなさんに読んでもらいたい気持ち半分、自分が読みたい気持ちが半分だ。このサイズで読める電子書籍がもっと増えてくれば、この先わたしの老眼が進んでも、きっと快適に本が読めると思う。そうなると、結局この仕事は自分のためにやっているのかもしれない。なんて自分勝手な人間だろう。しかし元来、人間とはそういうものだ。「人のためにやる」のではなく、「自分のためにやる」という動機が一番強く、一番パワーがあるのだ。だから、これからも私は電子書籍を作り続けようと思う。そして、自分が読みたい本、皆さんに読んでもらいたい本を、もっともっと出していこうと思う。

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2010年03月04日

恋は遠い日の花火ではない

 一昨日、都内某所にて男二名、女二名で飲み会を開いた。年の頃は30後半〜50過ぎ。いずれも、社会における自らの立ち位置を極めたツワモノばかりだ。そんな四人が餃子を肴に酒を汲み交わしつつ何を語るかと思えば、意外と「今だからこそ言える私の恋愛観」だったりするから面白い。しかも、二人の男性の意見は全く正反対だった。一人は「恋はプラトニックなほうが心に残る」というし、もう一人は「最後まで関係をもった相手にこそ、心が残る」という。それを聞いた女二人は、「そもそも、あんまり心に残さないよね。終わったものは、終わったもの」なんて平気でいってのける。こんな手の内を明かすような話が男女混合でやれるのも、この年齢だからこそなのかもしれない。

「そういえば、あの宣伝はよかったよね。ほら、『恋は遠い日の花火ではない』ってやつ」。

 話の中で、一人の男性がこう言った。それを聞いて、私も思い出した。たしか、ウイスキーの宣伝だった。飲み会の帰り、部下の若い女性にちょっとばかり心惹かれることを言われた男性が、道を歩きながら軽快なステップでジャンプする、そんなCMだったと思う。とても短いCMだったけど、あのシーンは確かに多くのおじ様たちに勇気を与えた。恋が若者だけのものだって、誰が決めたのか。シングルでも既婚でも、若くても年をとっていても、恋心はきっとどこかに潜んでいる。そしてそれは、いつかどかーんと大爆発を起こすかもしれないのだ……なんて。

 その男性は、続けてこんなことを言った。「男はいつだって、身を破滅させるような恋がしたいと思っているんだよ」。それを聞いて、やっぱり女より男のほうがロマンチストだと思った。魔性の女には、くれぐれも気をつけていただきたいものだ。

2010年03月06日

電子書籍のフリーミアム

 本日、朝日新聞に「タダで読ませて売り上げ増?ネットで本を無料公開の動き」という記事があった。最近、フリーミアムという考え方が非常に注目されている。この記事も、そのフリーミアムに注目して書かれているらしい(記事内では『フリーミニアム』という表記になっていたが、そういう呼称もあるのだろうか?)。

 クリス・アンダーソンの「フリー」という本を読んだ知人から、少し前にこのフリーミアムについて聞いたことがある。私はまだ同書を読んでいないので詳しい内容はわかっていないが、なんでもフリー(無料)のサービスで多くのユーザーを獲得し、その一部(5%程度?)をプレミアムユーザーにすれば採算があうというビジネス理論らしい。

 たしかに、インターネットが普及して以来、情報が無料で提供される環境が当たり前になったこの状況下で、情報に値段をつけるのは難しい。これまでのように「欲しければ(知りたければ)お金を払って下さい」というようなシンプルなビジネスモデルは通用しなくなってきたということだろう。しかし、少し使ってみた上で「これはいい」と実感すれば、対価を支払うことに対する抵抗はかなり軽減されるはずだ。その結果、売上が伸びる。この考え方は、たしかに今の時代にあっていると思う。

 電子書籍ビジネスでは、これまでもフリーミアムはあった。「立ち読み版」を無料で提供し、その内容を吟味してもらった上で完全版を購入してもらうというやり方は、まさにフリーミアムだ。実は、マイカの電子書籍では、一冊まるごと無料にするというマーケティングを2度、やったことがある。シリーズ作品の最初の一冊を無料にして、続きを買ってもらおうという戦略だった。いってみれば、一冊目だけ値段を安くする「ディアゴスティーニ」戦略だ。この戦略は、おかげさまで功を奏し、満足できる結果を出した。とはいえ、どの本でもやれる方法ではない。なにせ、一冊分の作品をタダで作家さんに書いてもらうことになるのだから、よほどその後のセールスに自信がないと提案できるものではない。仕掛けるほうも、ドキドキなのだ。

 しかし本心をいうと、わたしは書籍のフリーミアムにはあまり賛成できない。その理由はとても簡単で、作家が心血注いで書いた作品に対して「無料」という値付けをすることにとても抵抗感があるからだ。「一人でも多くの人に読んでもらいたい」という作家の気持ちは、よくわかる。そのために、フリーミアムは大変効果があるということも、よくわかる。わかりながらも、無料で提供するときに私の胸の奥がチクリと痛む。おそらくこの痛みは、「編集者の良心」、あるいは「作品に対するリスペクト」というものだろう。今後、もしフリーミアムが電子書籍の主流になっても、私は決してこの痛みを忘れないようにしよう。

2010年03月07日

Evernote=京大式カード

 本日、銀座の伊東屋で京大式カードを買ってきた。なんでいまさら京大式カード…という声が聞こえてきそうだが、いやいや、今だからこそ、これが必要なのだ。

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 ずっとEvernoteを使っていたが、実は、今ひとつピンとこないモヤモヤがあった。そのモヤモヤが、先日購入した「知的生産の技術」という本を読んで、やっとすっきりした。なるほど、Evernoteが目指しているのは、この世界だったんだ。そう、「Evernote」こそは、デジタル時代の京大式カードなのである。

 思いついたこと、Webで見つけた情報、ボイスメモ、写真、テキスト…。見つけたものは、すべてEvernoteに放り込む。40年前、梅棹忠夫氏は、これを京大式カードで実践していた。「頭の中にあることを覚えていたくないから、カードに記録する」というのが、京大式カードシステムだった。だから私は、Evernoteのコンセプトを完全に理解するために、原点に戻って京大式カードを使ってみようと思ったのだ。

 頭の中にあることをひとつひとつ取り出し、それをカードに書いてホルダーに保存する…。今日の午後は、ずっとこの作業に没頭した。先週のように、仕事が忙しかった時は、ついタスクが混乱してしまいがちだ。その混乱を秩序ある状態に戻すためにも、この「脳内棚卸作業」は必須なのだ。

 さあ、明日から、また多忙な一週間が始まる。

2010年03月08日

お風呂は夢のようだね

 さっき娘がいった言葉だ。

 たぶん、娘はかなり疲れていたのだろう。朦朧としながらお風呂に入ったので、とても心配だった。そして、お風呂からあがってきた彼女が言った台詞が、これ。それを聞いて、やっぱりお風呂の中で寝ていたのかと慌てたが、そうではないらしい。

 なんでも、お風呂の中でいろいろ考えたそうだ。一日の出来事や、友達のこと。
「お風呂って、夢みたいね。すごくいろんなこと、考えちゃった。そんなつもりなかったのに、一日のことを全部思い返していたみたい」。

 では、今まではどうだったのかと聞くと、「今日は、たまたまケータイを持って入らなかったから。いつも、お風呂でmixiみたりニュースみたりしてたからね。でもよく考えてみれば、そんなことはどうだっていい。今日みたいに、ぼんやりお風呂で一日のことを思い出すほうが、ずっとよかった。今まで、随分もったいないことをしていたね」。

 この話をきいて、ちょっとジーンとしてしまった。娘は今日、大事なことを発見し、別のステージへと移っていったような気がしたからだ。もの思う人生、思わない人生があるとしたら、私はやっぱり思う人生のほうが好きだ。彼女もまた、もの思う人生を歩む人になるのだろう。いろんなことを感じ、考えて、毎日の暮らしをじっくり味わって欲しい。


2010年03月09日

We are the world 25 For Haiti

 マイミクのなにわさんが、mixi日記で紹介していたこの動画をご紹介しよう。

 なんでも、LisaLavieというカナダ出身のプロミュージシャンが呼びかけて、動画投稿を編集し制作したとのこと。インターネットとYouTubeを使えば、こんなことまでできてしまうのだ。25年前には、想像だにできなかった世界が、ここにある。

2010年03月11日

花粉の季節

本日は、午後から天王洲アイルにて打合わせ。とても天気がよく、いい気分で出かけた。同行者は二人だったが、そのうちの一人が花粉症で、今日は随分と大量の花粉が飛んでいるとのこと。アレルギー反応がひどくなると、頭痛や腹痛、発熱を引き起こすので、バカにできない。十分気をつけていただきたい。

ところで私も花粉症なのだか、今日はなんともなかった。そういえば、二月三月は、あまり症状が出ていない。昨年末のほうが、よほど酷かった。ということは、スギではないということか。あるいは、ずっと飲んでいるヤクルト400が効いているのか。


2010年03月12日

Project Project Palm

 いま、串助での飲み会から帰ってきたところ。飲み会といっても、私は相変わらずアルコールがダメなので、そば茶を飲みながら焼き鳥を食べた。ほかの三人は、梅酒だの生ビールだの飲みつつ、これまた焼き鳥を食べていた。

 今日のメンバーは、iPhone版Project Palmを開発した陰郎さんと、陰郎さんに「iPhone版Project Palmを作ってよ」と提案したeyeさん、それと私&相方の4名。となれば、必然的にProject Palmの話題になる。これからキンドルやiPadが出たらどうする? やっぱりそれ専用のProject Palmを作る?みたいな話をしていたのだが、「そうすると、陰郎さんは一生Project Palmを作り続けることになるよね。つまりライフワーク?」という話になり、ついには「陰郎さんがどうやってProject Palmを作るのか、それをレポートした本を作ればいいのでは? つまり、Project Project Palmだね」ということになった。そうなったら、ぜひとも陰郎さん24時間密着取材を決行したいと思う。

 それにしても、本当にProject Palmは不思議だ。この本を作る人も、この本を読む人も、なぜかみんな「ありがとう、この本に出会えてよかった!」と思うようになる。それはきっと、著者である機長の想いが、しっかりと本の中に埋め込まれているからだろう。わたしもずいぶんたくさんの本を作ってきたが、携わった人間がみんな感謝するなんて作品はほかになかった。まったくもって、これこそミラクルである。

2010年03月15日

生きるも死ぬも

本日、赤坂にて吉若氏のお別れ会が開かれた。式には数百名の参列者が集まり、それぞれ献花し一礼して、亡き吉若氏に別れを告げた。詳しくは知らないが、おそらく各界の大御所といわれる方々だろう。大の男がハンカチで目頭を押さえるのを、式の途中で何度か目撃した。多くの方に愛された人生だったのだろう。

奥田社長の弔事はいつものように明るくスムーズで、その明るさが切ないと思いながら聞いていたら、弟さんを紹介されたあと、唐突に言葉が途切れた。どうしたのかと気をもんでいたら、長い間のあと、ようやく「葬式で、彼は何度も柩を叩きながら泣くのですよ。気持ち、わかります」と続けた。

創業以来、三つ巴で会社を引っ張ってきた仲間が、昨年、今年と相ついで亡くなった。残された社長の気持ちは、いかばかりだろう。ずっと一緒だった仲間をなくしても、悲しみで胸がつぶれそうになっても、彼は歩みを止めることができない。それは、そこに守らなければならない社員がいるからだ。なんと辛く、寂しく、厳しい道だろう。

志半ばで旅立たなければならなかった吉若氏は、もちろん、さぞ口惜しいだろう。しかし、残された者の苦しみもある。私がもし「どちらを選ぶ?」と聞かれたら、なんと答えるだろうか。今日は、どちらも同じように見えた。


2010年03月16日

ベレッツァの数量限定ランチ

 久しぶりに、カコさんとランチデート。ずっとゆっくり話す機会がなかったので、今日は少し時間をかけてランチを食べつつ、あれこれ話をした。たとえば、彼女が思い描いている未来のこと。この先、どんな人生にしていきたいのか。そのために、今、何をすればいいのか。

 「自分が生きた証を残したい」「何をするために自分がいるのか、それを知りたい」と思うのは、日本人特有の習性だとか。私は、ひそかにこのことを「自己実現のワナ」と呼び、危険物扱いしている。なにかを成し得たいと思うのは、決して悪いことではない。しかし、それを思い詰めすぎると、目の前の幸せや当たり前の日々を軽ろんじてしまい、やがて大切なものを失ってしまうと知っているからだ。

 しかし、カコさんはとても賢い人だし、なんたって愛の人だから、そんな心配はいらないだろう。どちらかを手に入れるためにどちらかを諦めるようなことは、決してしないはずだ。彼女のような人は、愛する伴侶と過ごす毎日の生活を大切にしつつ、上手に自分の道を極めていくのだろう。

 さて、本日美味しいランチをいただいたのは、本郷のベレッツァというイタリアンレストラン。ここの「数量限定ランチ」はとても美味しいという評判だったので、12時前にはお店について、すぐに注文した。メニューは「うずらのソテー マスタードソース」で、限定2品だという。つまり私とカコさんが注文したら、それでもう本日の数量限定ランチはおしまいということだ。なんだか申し訳ないような気がしたが、お味は大変美味しくて、大満足。
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2010年03月19日

娘の最後のお弁当

 今週末から一人暮らしを始める娘のために作った、たぶん最後のお弁当。幼稚園の時、彼女が好きだったメニューを再現してみた。といっても、当時のお弁当には山芋のステーキは入っていなかった。その代わりに、プチトマトが入っていた。あと、グリーンアスパラの代わりにブロッコリーが入ることもあった。
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 彼女が東京にやってきて一緒に過ごした4年間は、かけがえのない時間だった。彼女は毎晩、いきいきとした表情で今日一日のことを私に話した。友達と遊んだ話や片思い話、恋人ができたこと、実習の辛さと楽しさ、未来に対する不安……。普通だったら親には話さないようなことも、なんでも明け透けに話をしてくれた。それはまるで、小学生のように。もしかすると、私と彼女の関係を、小学校時代からやり直そうとしていたのかもしれない。

 「You got mail」という映画に、母と娘が部屋の中でダンスをするシーンがある。あのシーンを見ると、いつも胸が詰まる。娘が小さかった頃、ダンスが好きでいつも踊っていた、その光景を思い出すからだ。

 先日見た「マンマ・ミーア」という映画にも、娘と過ごした日々を回想しながら母が「Slipping through my fingers」という曲を歌うシーンがあった。その歌詞が、私の気持ちにぴったりきたので、少し引用させていただくことにする。

※引用元はこちら


学生鞄を持って
朝早く 娘は家を去っていく
手を振って さよならと言って
感情を打ち消した微笑みと一緒に

私は娘を見送る
よくある母の哀しみの波に打ちひしがれながら
それから、しばし座り込まずにはいられない
彼女を永遠に失ってしまうのではないか感じて
彼女がこれからまさに踏み込もうとしている新しい世界を共有することができないと感じて

私はいつでも幸せだった
楽しい小さな女の子だった彼女の喜びをいつでも共有することができて

私の指をすり抜けていく 彼女と私の過ごした時間のすべてが
私はそのひとつひとつの瞬間を思い出そうとしてみる
そのときに感じたことのすべてを

 この4年間で、8年分の時間を取り戻そうとしていた娘。でも彼女の小学時代、中学時代は、今どれほどあがいても取り戻すことができないことを、私は知っている。どんなに切なくても、それは事実なのだからしょうがない。今できることは、大人になった彼女と私が、新しい関係を築いていくことだけだ。

2010年03月24日

ただいま、お休み中

娘の引越しイベントで疲れたところに、流行の風邪菌がやってきて、どかんとやられてしまったらしい。セキがひどくて、声が出ない。ついでに発熱まで。

仕事が始まれば、どんな病気も治っちゃうワーカーホリックな私も、今回ばかりは普通にしんどい。ということで、明日の取材立ち会いは代行をお願いしてしまった。ほんと、ふがいない。

そんなこんなで、日記もお休みしちゃってますが、どうかご容赦ください。ネタはいっぱいあるので、それはまた、おいおい。とりあえず、今日はお休みなさい。



2010年03月30日

ソフトバンクのOpen Dayに思うこと

 先週の火曜以来、実に一週間もの間、風邪に苦しんでいた。たかが風邪、1日寝ていれば治るだろうとたかをくくっていたのが大間違い。今度の風邪はしつこくて、なかなかよくならないらしい。主な症状は「咳」で、特に夜中に眠れないほど咳き込むのがつらい。医者からもらった咳止めを飲んでも効かず、次に診察してもらったときにそのように伝えたところ、気管支拡張薬を追加してくれた。これがよかったのか、昨夜は咳き込むことなく、一晩中ぐっすりと眠れた。

 それにしても、今年に入ってもう二度も風邪をひいている。まだ三月だから、一か月半に一度の風邪っぴき。この計算でいくと、今年はあと6回ほど風邪をひかなければならない計算になる。そんなにたびたび寝込んでいたのでは、おもしろくない。やっぱり日頃から体力をつけて、少々のことではびくともしない体にしていかなければ、と思った。

 ところで、寝込んでいる間、あまり退屈なのでiPhoneでtwitterばかり見ていたところ、28日にソフトバンクのOpen Dayというイベントがあるという情報があった。私もいきたいと思って応募していたのだが、残念ながら外れてしまった。興味深く情報を追っていたら、Ustreamで実況中継をするという。これは見逃せないと、iPhoneにUsteamビューアをダウンロードして、ベッドの中でずっと見ていた。当日の詳細については、こちらに掲載されているので割愛するが、無料のランチやハマコーの自由すぎるパフォーマンス、広瀬香美のミニライブ以上に衝撃的だったのが、孫社長による爆弾発言。一つ目は、ユーザーや店舗や企業に対して、小型基地局(フェムトセル)を無料提供するということ。これにより、「電波が弱い」というソフトバンクの弱みをカバーしていこうという試みだ。そして二つ目は、Ustreamスタジオの無料開放。この発表を聞き、会場のみならずtwitterでも大いに沸いた。

 日曜の昼間、メディア不介入空間で、こうした爆弾発表をやってのける孫社長の時代を読む力、実行力は、とても常人に真似できるものではない。これまでのマーケティング手法にとらわれていては、とても思いつかない手法だが、たしかに相当の威力があると思う。この歴史に残るイベントを、ベッドの中で目撃しつつ、「これからは、既存の考え方やスタイルを捨て、時代にあった方法をどんどん確立し、取り入れていく実行力こそ、新しい経営者に求められている能力なのだろう」と思った。私も、こうしてはいられない。

2010年03月31日

電子書籍にあうデバイスとは

 電子書籍出版業を、実はもう6年もやっている。この業界でも、おそらく相当の老舗だろう。当時、電子書籍の出版社は、まだ片手ほどしか存在していなかった。その中で、あえてマイカが手を挙げたのは、よく言われるように「未来を予見していたから」ではない。

 6年前、凸版印刷から「あなたの本を電子書籍にしませんか」と声をかけられ、「どうぞどうぞ」と何の気なしに承諾したところ、この本が意外なほどよく売れた。この数字に気を良くして「電子書籍って、いけるんじゃないの?」と思ったことが、そもそものきっかけである。…いささか現金な理由で恐縮だが、実際そうだったのだから仕方がない。

 当時、電子書籍を読むデバイスといえば、パソコンかPDAだった。まだ携帯電話で読むというスタイルは、確立されていなかったように記憶している。電子書籍を始めるにあたり、私は電子書籍を読むスタイルについて考えた。パソコンで読む人が多いと聞いていたが、パソコンの画面に向かって本をよむのは、あまり現実的ではないという気がした。ふたを開けてみれば、案の定、パソコン読者はほとんどがグラビアを買っていて、テキストを読む読者はほとんどいなかった。グラビアなら、まぁパソコンで見るのがいいだろう。きれいなお姉さんの水着姿は、画面が大きいほうがいい。

 ならばテキストは、どうやって読むのだろう。当時、凸版印刷の電子書籍売り場(今のビットウェイブックス)では、PC版とPDA版が販売されていた(ちなみに、今はどうだろうと見てみたところ、現在もPC版とPDA版が販売されている。今、PDAで本を読む人はどれぐらいいるのだろう…?)。それで、私はこう思った。なるほど、文字を読みたい人は、PDAで読むのだな、と。

 まだその頃は、PDA市場が存在していて、ザウルスやPalm、WindowsCEを持っている人も多かった。ビットウェイブックスのPDA版は、きっとこういうユーザーが購入していたのだと思う。私も、当時Palmを使っていたので、よくダウンロード購入しては読んでいた。Palmなら、PCの画面より本が読みやすい。また、いつでも携帯できるので、移動時間などのスキマ時間を利用して読書することができるのも嬉しかった。

 そういえば、当時モバイルプレスという雑誌は、青空文庫のテキストデータをまるごとCD-ROMに収録するというおまけをつけていた。これをすべてSDカードに読み込ませれば、一生かかっても読みつくせないほどの本がザウルスに入るという提案は、とても魅力的だと思ったし、実際それを実行していた。いつでも好きなだけ本が読めるという贅沢感は、私のような本好きにはたまらなかった。

 しかし残念ながら、その後、PDA市場はどんどん縮小し、それとともにPDAユーザーも減少していった。外出先で電子書籍を読むにはどうすればいいのだろうと思っていたら、携帯電話がそれにとって代わった。あの小さな画面で読むのはさぞ大変だろうと思っていたのだが、どうやらそうではなかったらしい。普段からケータイメールを読みなれていた若年層は、逆に「ケータイのほうが読みやすい」そうで、いつの間にか電子書籍市場のメインストリームはケータイユーザーになった。それとともに、電子書籍市場もどんどん拡大していった。

 …と、長くなりそうなので、本日はここまで。この続きは、明日書きます。
 最後に、本日発売のiPhone用電子書籍、新刊案内をば。

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