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青空文庫の効用

 マイカから電子書籍を出版している作家さんが、「今年は、本をたくさん読もうと思います」と言った。彼女はとても若くて、お気に入りの本は「乙一」のような新しい作品が多かったのだが、最近は「青空文庫のタイトルを片っ端から読んでいる」とのこと。夏目漱石の「こころ」を読んで、「すごく面白い」と思ったそうだ。

 そのことをランチタイムにカコさんに話したところ、「国語の教科書に載っていたのは、ほんの一部だったからね。ちゃんと全部読めるというのは、とてもいいことかもしれないね」とのこと。確かに、作品の名前や有名なフレーズは知っていても、最初から最後までちゃんと読んだかというと記憶があやふやなことはよくある。そういう作品を、読みたいと思ったらすぐにネットからダウンロードして読めるようにした青空文庫というサービスは本当に素晴らしい。

 その一方で、Amazonで本を探し、注文すれば翌日に届くようになって、本を買って読むということがとても身近になった。ただ、人間というのは本当に贅沢に慣れるもので、翌日まで待つことすら「とても待てないな」と思うようになる。そうなってくると、青空文庫の要領で、書籍をダウンロードして読めたらいいな、という欲求が湧いてくるのも当然のことなのかもしれない。

 そのとき、その本が有料か無料かは、あまり問題ではないだろう。青空文庫は無料だが、利用者が多いのは、無料だからという理由だけではないはずだ。そのよい例が、iTunes Storeだ。その曲を聞きたいと思ったら、無料だろうとッ有料だろうと、なんとかして手に入れたいと思う。そのとき、すぐに検索して購入できるiTunesというシステムがあれば、やっぱりこれを使って買ってしまう。

 現在、その形態に一番近いのが、Amazonのキンドルだろう。iPhoneにキンドルアプリを入れて試してみたが、本を手に入れるまでの道のりの手軽さは、やはりAmazonだ。やがて日本でも販売されるようになり、多くの人がこれを利用するようになるだろう。となれば、音楽配信のように、電子出版が当たり前になる日も近いだろう。

 そのことを夢想したとき、私の頭に浮かぶのは、ずっとまえにSF映画かなにかでみた電子新聞だ。薄っぺらいモニターのようなものを手にすると、そこに今日の新聞が表示され、ページをめくるような操作をすると、次のページが表示される。これに一番近いのが、iPhoneの「産経新聞」だ。たとえばこれを、Appleから発売されるという噂のタブレットで読むだけでも、そのSFの世界にかなり近づくだろう。そしてそれは、決して遠い未来の話ではないのだ。

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コメント (3)

僕の回りでは、殆どの人がやっぱり書物は、紙だと言う人がまだまだ多いのですが、個人的には、電子書籍に期待しています。特に、iPhoneなどのモバイルでバイスで手軽に何処でも読めるという環境は、一度はまると、戻れなくなりますよね。

真花:

たしかに、まだ一般的ではないですね。
ただ、以前よりはずっと認知が広がっていますし
電子化という流れは、もう避けようもないので
SFの世界が当たり前になるのは、本当に近い未来だと思います。

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