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「う」の引き出し

 故向田邦子は、「う」の引き出しを持っていた。「う」の引き出しには、全国の「うまいもの」のカタログやちらしが入っていた。ふと「美味しいものが食べたい」と思ったとき、その引き出しを開けて、「今度はどれを食べようか」とあれこれ想い巡らせていたのだろう。

 昨日「これく亭」に集まった方々も、きっとかなり良質な「う」の引き出しを持っているに違いない。みなさん、本当に美味しいものをよくご存知で、しかもそれを自分で料理してみたりしているようだ。今回誘ってくれた荻島さんなどは、日本でひとつしかないインカ料理を出す店で食事をした際、その味を盗んで家で再現したそうだ。いまはもう、その店のマスターもお亡くなりになったそうで、「だから今、日本でインカ料理が再現できるのは、僕を含めて二人しかいない」とのこと。

 そんな荻島さん、昨日「これく亭」のマスターに頼んで、カレーを作るときに使うスパイスを分けてもらっていた。彼は、ファスナーつきビニール袋をいくつか取り出し(なぜそんなものを持っていたのか、その理由を聞きたかった!)、その中に何種類かのスパイスを分けて入れて、その名前を油性ペン(これもなぜ持っていたのか、理由を聞きたかった!)で書き付けていた。さらに、マスターに「カレーの料理教室を開いてほしい」というお願いをしていた。おそらく近い将来、彼の自宅であの味のカレーが楽しめるようになるのだろう。

 ところで、私もささやかながら「う」の引きだしをもっている。そこには、味噌汁やおでん、鍋の味を引き立てる「あごだし」の美味しいお店や、料理に使うと美味しい「はちみつ」のお店、魔法のように料理が美味しくなる「しょうゆ」のお店など、和食料理に使う調味料がたくさん入っている。一番好きな味噌は、お店で売っている味噌ではなく、とある旅館のおかみが趣味で作っている自家製の味噌なので、こればかりはただおかみのゴキゲンで分けてもらえる幸運を待つしかないが、ほかのものは幸いなことにいつでも取り寄せられる。

 写真は、その「う」の引き出しから取り寄せたもので作った今日の朝食。いろいろ美味しいものを食べて歩いてはいるけれど、やっぱりこういう朝食を食べるときが一番幸せを感じる。

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コメント (1)

荻島:

先日は運んでもらってどうも、ありがとう。
ビニール袋携帯は探偵の基本ですからねw。証拠物件を保存する。ホームズも内ポケットにいつも紙封筒持ってましたし。

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