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これからの出版社のあり方を考える

 本日、某出版社の編集部の方にご挨拶に伺った。とりあえず今日の目的は顔合わせだったのだが、そこでもやっぱり電子書籍の話題が出た。最近、どこにいってもこの話だ。一昨年までは、どの出版社も、まだメディアとしての電子書籍を意識していなかったが、昨年からすこしずつ状況が変わり、今ではもう無視できない存在になっているようだ。積極的に推進するか、あるいはもう少し状況をみて判断するかは社によって違うようだが、異口同音に「デジタル化は、もう避けては通れないでしょう。やがてそうなることはわかっているのだから、あとはいつやるかだけの問題で」という。

 書籍のデジタル化が進むと、もうひとつ大きな課題が出てくる。個人が直接アマゾンと取引できるようになったら、出版社と印刷所の役割はどうなるだろう…ということだ。つまり、プロの作家であれ、素人作家であれ、自分の作品を自由にアマゾンで販売できるようになったら、編集者や出版社、印刷所はいらなくなるのではないか、という問題だ。

 この件について一般的な見解をきくと、出版業界に対してかなり悲観的な見方が多く出ているようだ。しかし、実は私はそうは思っていない。上手い作家やライターがいて、それをすぐに本にできる技術があったとしても、それだけで本が売れるわけではない。出版社には出版社の、編集部には編集部のもつノウハウがあり、それは一朝一夕で身につくものではないのだ。やはりそこには、出版のプロが必要とされるのではないかと、私は考えている。その時スポットライトがあたるのは、たとえば「この人が作れば必ずミリオンセラーになる!」というような、カリスマ編集者だったりするのではないだろうか。

 今年から来年にかけて、出版業界は大きな転機を迎える。そこで倒れるか、生き残って新しいメディアの潮流を生み出すかは、まさに今、どの道を選ぶかにかかっているような気がする。判断を間違えないように、しっかりと未来の出版スタイルを見極め、そこで受け入れられる出版物を思い描きながら、慎重に足を進めていきたい。