【書評】ゼロ秒思考(赤羽 雄二)

火曜日になっちゃったけど、今日は電子書籍の日! 本日のおすすめは「ゼロ秒思考」という本です。

一時期、話題になった本なので、読んだ人は多いかもしれません。わたしはつい数ヶ月前、知人からのすすめでこの本を手にしました。

ここに書かれているのは、著者が編み出した「ゼロ秒思考」のやり方。ゼロという名前がついていますが、実際はゼロではなく1分。A4の紙を自分の前におき、1分間だけそこに思いついたことを書くというのが「ゼロ秒思考」の基本的なルールです。やってみればわかるのですが、1分という時間はあまりにも短すぎて、頭を使って書くことはできません。頭に浮かんだことを次々と書き続けるのが精一杯。著者曰く

頭の中にはモヤモヤしていることが多い。色々な言葉が浮かぶ。言葉にならない言葉が浮かんでは消える。それをがんばって言葉にしてみる。浮かんだ瞬間に言葉にしてみる。

とのこと。この「浮かんだ瞬間に言葉にしてみる」ための仕掛けが「1分間」という縛りなのかもしれません。余計なことを考えず、浮かんだらその場で書いてみる。これができなければ、ゼロ秒思考にはなり得ないのです。

だれだって起きている間、いつでも何かを感じている。なにかを考え、なんらかのイメージが浮かんでいる。ただそれがすぐ消えてしまう。言葉を認識する以前に、もやっとした感情のまま、それが何かを特定しないまま消えてしまう。

わたしが心惹かれたのは、この部分。たしかにわたしの頭のなかには、しょっちゅう言葉が浮かんでは消えています。たとえばこんな具合。

「昨日、Mさんが言ったこと。あれってなんだったんだろう。わたしが言ったことで、なにか気に障ったことがあったのかな。そういえばあのあと、メールの文面もなんかちょっと変だった。どうしよう。直接話をして聞いてみたほうがいいのかな。それとも、メールのほうがいいかな…」

こういったことを頭の中でモヤモヤ考えていても、なかなか解決できません。しかし、これを紙に書いてみると、なんとなく整理されていく。わたしの中でわだかまっている部分が何なのか、うっすらと見えてきます。

相手の機嫌を損ねたらどうしようとか、言い争いになりそうでとても伝えられないと思っていたことを、スムーズに伝えられるようになると、ミーティングが建設的に進むので、余計なしこりが生じにくい。妙な遠慮や辻褄あわせがないので、気分もよい。

まさに、こんな感じです。

「ゼロ秒思考」に書かれているのは、「紙に、自分の頭のなかにあることをそっくりそのまま書き出す」ということ。このとき、余計な忖度や配慮をしないのが肝。だれかに見せるわけではないので、遠慮なく、思ったことをそのまま書けばいいんです。

そうして紙に書き出すことによって、書いた人は自分の考えや感情を「メタ認知」する。それによって、じぶんの中の思い込みや歪みも、第三者の目で見られるようになる…というのはわたしの勝手な解釈ですが、実際にやってみて、きっとそういった効果もあるのだろうなあと思いました。

「最近、もやもやしている」という人や、「考えがうまくまとまらない」という人は、ぜひ一度、「ゼロ秒思考」を試してみてはいかがでしょうか?

井上 真花(いのうえみか)インタビュアー

投稿者プロフィール

有限会社マイカ代表取締役。PDA博物館の初代館長。日本冒険作家クラブ会員。

長崎県に生まれ、大阪、東京、三重を転々とし、現在は東京都台東区に在住。1994年にHP100LXと出会ったのをきかっけに、フリーライターとして雑誌、書籍などで執筆するようになり、1997年に上京して技術評論社に入社。その後再び独立し、2001年に「マイカ」を設立。

主な業務は、一般誌や専門誌、業界紙や新聞、Web媒体などBtoCコンテンツ、および広告やカタログ、導入事例などBtoBコンテンツの制作。

プライベートでは、井上円了哲学塾の第一期修了生として「哲学カフェ@神保町」の世話人、2020年以降は「なごテツ」のオンラインカフェの世話人を務める。趣味は考えること。ライフワークは「1000人に会いたいプロジェクト」

井上真花の公式ホームページはこちら

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