メッセンジャーバッグを長年使ってきた。小さめだけど収納力があって、パソコンもカメラも入る。取材のときにも重宝していた。ただ、五十肩になってから、バッグを肩にかけたり取ったりする動作が地味につらい。特に、バッグを下ろす瞬間がいちばんきつい。そんなことを妻にぼやいていたら、「これ、いいんじゃない?」とYouTubeの動画を見せられた。
「マザーズリュック」という選択肢
勧められたのは、ワークマンの「パカッと開く!保冷保温パントリー軽量マザーズリュック」(税込3,990円)だ。
正直、最初は「マザーズ……?」と思った。子育て世代向けの商品で、ベビーカーに掛けやすいDカンループや、抱っこ紐をつけたまま下ろしやすいバックル仕様など、育児目線の機能が盛り込まれている。自分には関係のない機能も多い。
でもよく見ると、メインのポケットはダブルファスナーでどちらの方向からでも開けられる設計で、サイドにはペットボトルや折りたたみ傘が収まるゴム入りポケット。背中側には大型のセキュリティポケット。スマホを取り出しやすいストラップホルダーも長め設計になっている。「取材バッグとして使えるかもしれない」と思い始めた。
保温保冷パントリーが、予想以上に使えそう
このリュックの目玉機能は、パカッと大きく開く、オールシーズン対応の保温保冷パントリーだ。保冷剤入れにもなる空中ポケット、ネッククーラーを掛けられるスナップボタン付きのミニループ、お弁当も入る大きめのメッシュポケット、ペットボトルが入る仕切りポケットと、収納の種類が細かく分かれている。
夏の屋外取材はとにかく体力を消耗する。熱中症対策のネッククーラーや保冷剤、水分補給のペットボトルを持ち歩くことを考えると、保冷機能つきのバッグは理にかなっている。バッグが「移動式の冷蔵庫の一角」として機能するなら、別途クーラーバッグを持つ必要もなくなる。
さらに気づいたのは、保温保冷パントリーの容量の大きさだ。3,990円とは思えないほどの機能が詰め込まれていて、保冷バッグを別途持たなくてよくなる点、ネッククーラー専用フックという細かい気配りが評価されているのも納得できる。パントリー部分には一眼レフのレンズも入りそうなサイズ感で、取材道具をしまうサブスペースとしても活用できそうだ。
高島平まで買いに行った
ひとつ問題があった。オンラインでは販売していないらしい。店舗の在庫を調べてみると、都内でも取り扱いのある店舗はかなり少ない。最寄りではないが、高島平のワークマンに在庫があることを確認して出かけた。
妻用とぼく用、色違いでそれぞれ購入した。ブラックを選んだのは、仕事でも違和感なく使えそうだったから。デザインはシンプルで、ブラックなら普通のリュックとして使える。「マザーズリュック」と言われないかぎり、外見からそれとはわからない。
実際にパソコン、ボイスレコーダー、カメラなどの取材道具を詰め込んで取材に行ってみた。収納力はまったく問題なかった。リュックを背負ったまま荷物を出し入れできるので、五十肩のしんどさが格段に減った。バックル仕様で下ろしやすいのも、地味だけど助かる。
名前に「マザーズ」とついていても、機能はあくまでも「取り出しやすく、しまいやすく、夏でも快適に使える」ということに尽きる。思えば取材現場でも子育て現場でも、「すぐ取り出せる」「両手が使える」「暑さに負けない」は共通した要件だ。そう考えると、このリュックが取材バッグとして優秀なのは、そんなに不思議なことでもないのかもしれない。