最近、Google検索を利用する人が徐々に減少しているという話を聞きました。多くの人が何かを調べる際に生成AIを活用する傾向が強まっているとのこと。この流れを受け、Googleにも「AIによる概要」という機能が実装されました。検索結果ページの一番上に表示される、これです。Google検索をしたあと、この概要だけを読んで終わる人は増えているのではないでしょうか…だってそのほうが楽ですし。

改めて考えてみると、生成AIには従来のGoogle検索にはない魅力的な特徴がいくつもあります。
1. キーワードを考える必要がない
Google検索では、適切なキーワードを考えることが検索の成否を左右します。キーワードの選び方や組み合わせを工夫しなければ、思ったような結果は得られません。一方、生成AIなら会話を重ねる中で、だんだんと求めている答えに近づいていくことができます。
2. 漠然とした疑問から始められる
Googleでは「自分が何を知りたいのか」を明確にしてから検索する必要があります。しかし生成AIなら、なんとなく心の中にある疑問を話しているうちに、本当に知りたかったことが次第に明らかになってきます。この発見的なプロセスは、思考を整理する上でも非常に有効です。
3. 情報の精査と整理を任せられる
Google検索では多数のサイトが検索結果として表示され、それぞれのリンクをクリックして内容を確認し、信頼性を精査する作業が必要です。生成AIは複数のサイトにある情報を自動で精査し、より多くの情報源が支持している内容を選別・分析してまとめた形で提示してくれるため、手間が大幅に省けます。
4. 情報から考察まで一貫してサポート
Googleで見つかるのは「情報」そのものです。それをもとに考察し、自分なりの結論をまとめるのは利用者の仕事でした。生成AIはその思考プロセスも一緒に担ってくれるため、一人で悩む必要がなく、スピーディに答えにたどり着けます。
「思考の発見」機能の重要性
これらの中でも、私が特にメリットと感じているのは2番目の「思っていることを話しているうちに、自分が何を知りたかったかがわかってくる」という点です。
私たちは、意外と自分が「何を知りたいのか」「何を知らないのか」ということをよくわかっていません。これを明確にすることで、知的好奇心は広がっていきます。そういった意味で、生成AIとの対話を通じて自分の興味関心の輪郭を明確にするのは貴重な体験だと感じています。
ただし、生成AIを「正解を教えてくれるツール」として使うのは危険です。なぜなら、AIにはハルシネーションがあり、時として誤った情報を堂々と伝えることがあるからです。それをそのまま信じてしまうのはリスクが大きすぎます。…もっとも、これはGoogle検索でも同じことです。検索結果に表示されるサイトの情報が必ずしも正確とは限りませんから。
探究のコンパスとしての生成AI
では、生成AIをどう活用すべきでしょうか。私は「自分が何を知らなくて、何を調べればそれが判明するのか」を探るツールとして使うのが最も有効だと考えています。
生成AIに最終的な答えを求めるのではなく、自分の疑問を整理し、調べるべき方向性を見つけるためのコンパスとして活用する。そうすることで、生成AIの持つ対話的な特徴を最大限に活かしながら、ハルシネーションのリスクも最小限に抑えることができるでしょう。
情報収集の方法が大きく変わりつつある今、私たちも新しいツールとの付き合い方を学んでいく必要がありそうです。