入院の友「寝ホン(Soundcore Sleep A30)」が効果抜群だった

レビュー

脳の動脈瘤検査のため、二泊三日の入院をすることになった。気になったのは、検査そのものよりも「ちゃんと眠れるか」ということ。病室は4人部屋。他の患者さんのいびきや夜中の物音、空調の音などが気になり、熟睡できないのではないかと不安だった。

知人に相談したところ、「耳栓は持っていったほうがいい」とアドバイスをもらった。そこで、以前からずっと気になっていた「寝ホン」を試してみようと思い立った。

「寝ホン」とは

「寝ホン」とは、寝ながら使うことに特化したイヤホンのこと。普通のワイヤレスイヤホンは音楽を聴いたり通話したりすることが主な用途だが、寝ホンは睡眠の質を高めることをメインコンセプトとして設計されている。ノイズキャンセリングやいびきマスキングといった機能を搭載し、寝返りしても邪魔にならない形状や装着感が追求されているという特徴がある。

選んだのは「Soundcore Sleep A30」

今回購入したのは、ANKERのオーディオブランド「Soundcore」の「Sleep A30」(税込29,990円)だ。2025年9月に発売された最新モデルで、世界初(※自社調べ、2025年7月時点)という「適応型ノイズキャンセリング」を搭載している点が最大の売りとなっている。

主なスペックは以下のとおり。

  • 重量:約3g(イヤホン本体・片耳)/充電ケース含む約66g
  • 防水:IPX4
  • Bluetooth:5.3
  • 再生時間:ノイズキャンセリングON時で最大6.5時間(本体のみ)/最大35時間(充電ケース使用時)。ノイズキャンセリングOFF・ローカル再生時は最大14時間/最大70時間
  • 充電時間:約1.5時間(本体)
  • 同梱品:シリコン製イヤーチップ(4サイズ)、フォームタイプイヤーチップ(3サイズ)、イヤーウィング(3サイズ)など

なお、下位モデルの「Sleep A20」(税込16,990円)という選択肢もある。約1万3,000円の価格差があり、コストを抑えたい場合にはそちらも十分アリだと思う。ただ今回の私のケースでは、病室という予測しにくい騒音環境に対して、「適応型ノイズキャンセリング」の恩恵をしっかり受けたかったので、あえてA30を選んだ。

入院前に自宅で試してみた

寝ホンと普通のイヤホンの最大の違いは、サイズだ。市販の耳栓とほとんど変わらないサイズで、使い方も耳栓と同じで、耳の穴に埋め込むような形で装着する。耳の外に飛び出さないので、横向きに寝返りしても邪魔にならない。

もし寝返りのたびに耳が圧迫されて目が覚めてしまうようでは本末転倒だが、そんな心配は無用だった。内側は耳に優しいシリコン素材で覆われているため、耳を下にしても痛くなりにくい構造になっている。

さすがに初めての状態で病院に持ち込むのは少し不安だったので、入院前に2日間、自宅で試した。1日目は耳の中に異物が入っている違和感を若干感じたが、2日目にはすっかり慣れて、朝までぐっすり眠れた。

音質は、正直あまり良いとは言えない。悪くはないのだが、同じANKERの「Liberty Buds」シリーズと比較すると、かなり見劣りする。ただし、寝ながら高音質の音楽を楽しみたいかと問われれば、そうではない。寝ホンの役割はどちらかといえば耳栓の延長線上にあるわけで、その点はさほど問題とは感じなかった。

ノイズキャンセリング効果の実力

最も重要なポイントである耳栓効果については「適応型ノイズキャンセリング」機能がキモで、結論からいうとその効果は抜群だった。空調の「サー」というノイズや、マンションの他の部屋から聞こえてくる生活音まできれいに消されており、装着した瞬間に「シーン」となる静けさが訪れる。

特におもしろかったのは、普通の耳栓で寝返りをすると「ガサガサ」という音が耳の中に響くことがあるが、Sleep A30にはそれがなかったという点。どういう仕組みでそうなるのかはよくわからないが、とにかく快適だった。

いびきマスキング機能の実力

病室で本領を発揮したのが、A30に搭載された「いびきマスキング機能」だ。充電ケースが周囲のいびきをリアルタイムで検知し、イヤホン側がいびきの音量や音程に合わせて自動でマスキング音を生成する仕組みになっている。

入院初日の夜、まったくいびきが気にならなかったので「この部屋の方々はいびきをしない方ばかりなのかな」と思っていた。ところが2日目の夜、試しにイヤホンを外してみると、隣のベッドからかなり大きないびきと咳の音が聞こえてきた。それがイヤホンをしているときはまったく気にならなかったのだから、機能の実力はなかなかのものだと言っていいだろう。

アプリの工夫も睡眠特化

専用の「Soundcore」アプリにも、寝ホンらしい仕掛けが充実していた。スリープミュージックやホワイトノイズなど、入眠を助けるサウンドが多数用意されている。

私はオーディブルで本の朗読を聴きながら眠ったのだが、アプリが眠りを検知すると自動で再生が止まり、その後はホワイトノイズに切り替わるという仕様になっていた。朝目覚めると、静かなホワイトノイズが流れているという体験は、なかなか心地よかった。

もうひとつ感心したのが「睡眠レポート」機能だ。入眠時間、睡眠時間はもちろん、寝返りのタイミングや体勢の変化まで詳細に記録されていた。ここまでログが取れるとは正直想定外だった。スマートウォッチで睡眠ログを取ることに抵抗がある方や、そもそもウォッチを持っていない方には、これだけで導入する価値があるかもしれない。

入院という、睡眠環境としてはかなり過酷な状況でも、Sleep A30のおかげで2泊ともしっかり眠ることができた。適応型ノイズキャンセリングといびきマスキングの組み合わせはとりわけ強力で、病室という環境で実力を存分に発揮してくれた。

価格は約3万円と高めで、「普通の耳栓で十分では?」という声もあるかもしれない。だが睡眠の質に課題を感じている方や、出張や旅行で騒音に悩まされがちな方には、十分に検討に値する製品だと思う。少なくとも私には、入院を乗り切るための強力な味方になってくれた。

井上 真花(いのうえみか)

井上 真花(いのうえみか)

有限会社マイカ代表取締役。PDA博物館の初代館長。長崎県に生まれ、大阪、東京、三重を転々とし、現在は東京都台東区に在住。1994年にHP100LXと出会ったのをきかっけに、フリーライターとして雑誌、書籍などで執筆するようになり、1997年に上京して技術評論社に入社。その後再び独立し、2001年に「マイカ」を設立。主な業務は、一般誌や専門誌、業界紙や新聞、Web媒体などBtoCコンテンツ、および広告やカタログ、導入事例などBtoBコンテンツの制作。プライベートでは、井上円了哲学塾の第一期修了生として「哲学カフェ@神保町」の世話人、2020年以降は「なごテツ」のオンラインカフェの世話人を務める。趣味は考えること。

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