上野・科博「大絶滅展」で気づいたこと

レビュー&コラム

先日、上野の国立科学博物館で開催中の特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」に行った。タイトルからして重々しい。

会場に入ると、まず巨大な球形映像展示「大絶滅スフィア」が目に飛び込んでくる。地球儀のような美しいスクリーンに映し出されるのは、地球史で起きた5回の大量絶滅「ビッグファイブ」の記録だ。

生物種の75%以上が一気に消えた事件。地球では、それが5回も起きていたのだ。

約4億4400万年前のオルドビス紀末。約3億8000万~3億6000万年前のデボン紀後期。そして約2億5200万年前のペルム紀末――史上最大の絶滅では、地球上の生物種の多くが姿を消した。約2億100万年前の三畳紀末を経て、最後は約6600万年前の白亜紀末。恐竜が絶滅したあの事件だ。

原因は隕石の衝突、大規模な火山活動、気候の激変、海の酸性化。どれも文字通り「世界の終わり」のような出来事だ。

90%の生物が消えても、地球は復活した

展示のハイライトは、ペルム紀末の大絶滅コーナー。シベリアで起きた大規模火山活動により、有毒ガスが大気を覆い、海は酸性化し、気温は10度以上も上昇した。生物種の90%以上が絶滅した、まさに地球史上最悪の環境破壊だ。

会場には火山活動を体感できる模型があり、その凄まじさが伝わってくる。

わずか10%の生物種が生き残り、数百万年かけて生態系は復活した。恐竜が誕生し繁栄したのはこの大絶滅の後だ。哺乳類が台頭したのは恐竜が絶滅した後だ。

展示の最後のセクションは現在進行形の話だ。科学者たちは今まさに「第6の大量絶滅」が始まっていると警鐘を鳴らしているように感じる。

会場には、ステラーカイギュウの全身化石が公開されている。1741年に発見されたこの大型海棲哺乳類は、人類による乱獲でわずか27年後の1768年に絶滅した。人類が直接的に絶滅を引き起こした歴史の証人だ。

過去5回の大絶滅は、すべて自然現象が原因だった。でも、今起きつつある第6の絶滅は違う。地球史上初めて、生物自身――人類が大量絶滅の引き金を引いている。考えさせられる展示の構成だが、気分は落ちる……。

人類が絶滅しても、地球は残る

そんな中、ある事実に気がついた。人類が絶滅したところで、地球はきっと残るということ。

過去の地球には、現在よりはるかに温暖な時期もあったし、全球凍結という地球全体が氷に覆われた時代もあった。生物種の90%が絶滅する事件すら、地球は乗り越えてきた。

温暖化しても、海面が上昇しても、地球という惑星は回り続ける。数百万年後には、また新しい生態系が生まれ、進化していくだろう。

つまり「地球環境を守ろう」というスローガンは、実は正確じゃない。守るべきなのは「地球」ではなく「人間が住める地球」なのだ。

地球は残るけど、あなたには残ってほしい

帰り道、スマホに友人からのメッセージが届いた。週末の予定の確認だ。そういえば週末は、子どもたち家族のダンス発表会に行くことになっている。今から楽しみだ。

地球は残る。それは46億年の歴史が証明している事実だ。

でも、僕にとって大切なのは、この人たちに残ってほしいということだ。家族や友人たちに、これからも幸せに過ごしてほしい。その人たちの子どもや孫にも、この美しい地球で生きていってほしい。

結局、環境問題とはそういうことなのかもしれない。「地球のため」という大きすぎる話ではなく、目の前の大切な人たちが安心して暮らせる環境であれ、というシンプルな祈りなのかもしれない。


【展覧会情報】
特別展「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」
会期:2025年11月1日(土)〜2026年2月23日(月・祝)
会場:国立科学博物館(東京・上野公園)
開館時間:9:00〜17:00(入場は16:30まで)
詳細:https://daizetsumetsu.jp/

秋葉 けんた

秋葉 けんた

IT系のライティングを担当。 書籍、雑誌、業界誌やWebコンテンツなど、コンシューマからB2Bまで幅広く執筆。また、広告やカタログ、導入事例といった営業支援ツールの制作にも携わる。年間におよそ200件の原稿を執筆。●これまでの主な仕事 PC/周辺機器(CPU/DVD・BD・HD DVD/LCD/プリンタなど)、基幹システム(CRM/ERP/SFA/SOA/帳票など)、ストレージ(SAN/NAS/LTO/SASなど)、セキュリティ(BIOS/UTM/情報漏えい対策/デザスタリカバリ/内部統制・コンプライアンス/ネットワークセキュリティ/メールセキュリティなど)、ネットワーク(KVMスイッチ/グループウェア/サーバ/資産管理/シンクライアント/ホスティングなど)、その他(.NET/BI/カタログ/各種戦略/導入事例/パートナー取材など)…ほか、多数執筆。●連絡先 メール:kenta@office-mica.com

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