『伝説の朝ごはん』が教えてくれる暮らしのエッセンス

グルメ

最近、「伝説の朝ごはん」という動画シリーズにハマっている。これは、プロフェッショナルな人々の朝ごはんに迫る動画シリーズで、準備から片付けまでのルーティンをカメラが淡々と捉える内容だ。ナレーションもBGMもなく、ただその人の朝の時間が静かに記録されている。

もともと91歳の人がどんな生活をしているのか知りたくて検索し、このシリーズを見つけた。「91歳 男性 生活」と動画検索をかけると、田原総一朗さんの朝ごはん動画が出てきたのだ。

再生してみると、田原総一朗さんがひとりで朝ごはんの準備をして食べるシーンが、まるでドキュメンタリーのように記録されていた。目玉焼き、冷凍食パン、レタス、牛乳、リンゴジュース、お茶など、30年以上ほぼ変わっていないメニューを、決まった手順で準備していく。

その決まったルーティンに従って準備を進めている様子、またそれをひとりで食べている様子を見ていると、とても興味を惹かれた。何が特別というわけでもない、ごく普通の朝ごはんなのに、なぜかとても引き込まれてしまったのだ。

朝ごはんは、特別だ。朝ごはんは、決まった手順で決まったものを食べる人が多い。そこに、その人の暮らしのエッセンスが凝縮されているような気がする。そこで、他の人の朝ごはんも見てみることにした。

印象的だったのが、92歳のバレリーナの朝ごはんだった。なんと70年以上同じメニューを食べているという。20代でパリに渡った頃からずっと、朝はクロワッサンと決めているようだ。コーヒーはエスプレッソメーカーで淹れて、カフェオレにする。果物は数種類用意し、スキレットで目玉焼きを作る。

献立はとてもおしゃれだけれど、特に意識してそうしているわけではない。彼女にとっての「当たり前」が、あのメニューなのだと納得できる。ひとつひとつの所作が美しいのも、朝ごはんのメニュー同様、長年の習慣として身についたものだとわかる。

ほかにもいろんな朝ごはんがあるが、みなさんごく普通に、当たり前に、朝ごはんの準備をしている。他の人から見たら不思議なメニューも、その人にとっては当たり前。その「当たり前」を目の当たりにするのがとても楽しい。

きっとランチや夕食だとそんなふうにはいかないだろう。朝ごはんだからこそ、その人の素の部分、習慣化された日常の一部を垣間見ることができる。やっぱり朝ごはんはおもしろい。

この「伝説の朝ごはん」シリーズを見ていると、人それぞれの暮らし方があって、それぞれの「普通」があることを改めて実感する。そして、その多様性こそが人間の面白さなのかもしれないと思うのだ。

井上 真花(いのうえみか)

井上 真花(いのうえみか)

有限会社マイカ代表取締役。PDA博物館の初代館長。長崎県に生まれ、大阪、東京、三重を転々とし、現在は東京都台東区に在住。1994年にHP100LXと出会ったのをきかっけに、フリーライターとして雑誌、書籍などで執筆するようになり、1997年に上京して技術評論社に入社。その後再び独立し、2001年に「マイカ」を設立。主な業務は、一般誌や専門誌、業界紙や新聞、Web媒体などBtoCコンテンツ、および広告やカタログ、導入事例などBtoBコンテンツの制作。プライベートでは、井上円了哲学塾の第一期修了生として「哲学カフェ@神保町」の世話人、2020年以降は「なごテツ」のオンラインカフェの世話人を務める。趣味は考えること。

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