「空海展」(奈良国立博物館)で見た曼荼羅

先日、奈良に行ったついでに「空海展」を見てきました。今年は空海生誕から1250年目にあたる年ということで、奈良国立博物館が企画した特別展です。

空海は、『性霊集』巻第八にこんなことを書いています。

「虚空尽き、衆生尽き、涅槃尽きなば、わが願いも尽きなん。」
(この世の全ての物が消滅し、仏法の世界が尽きるまで、私は人々が救われることを願い続ける)

この願いをこめて空海が作ったのが「曼荼羅」です。今回は、空海が制作を指導した現存最古の曼荼羅「両界曼荼羅(高雄曼荼羅)」を修理後初公開するとのこと。曼荼羅が大好きな秋葉さんに連れられて、私も実物を見てきました。もちろん撮影はできませんでしたが、購入した図録に写真が載っていましたので、参考までに置いておきます。

右側が胎蔵界で、左側が金剛界。年月が経っているため薄ぼんやりとしか見えませんが、雰囲気だけでも伝われば。

密教は、言葉だけでは理解できない教えと言われています。なんとかその教えを伝えたいと思った空海が選んだのは、「目で見て理解できる」曼荼羅でした。今回の特別展では、その空海の世界観を「マンダラ空間」として再現し、来場者が体感できるように展示したとのことでした。

そこまでやっていただいたのに、残念な私はあまりよく理解できないまま会場をあとにしました。ただ曼荼羅の説明の中に「胎蔵界は慈悲を示し、金剛界は知恵を示す」という文章を見たとき、「知恵だけでは足りない、しかし慈悲だけでは救えない。慈悲と知恵はどちらも必要なんだ」と深い感銘を受けたことは、今も鮮明に覚えています。

「空海展」が開催されているのは6月9日まで。マンダラ空間を体験したい方は奈良国立博物館に行ってみてください。

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井上 真花(いのうえみか)インタビュアー

投稿者プロフィール

有限会社マイカ代表取締役。PDA博物館の初代館長。日本冒険作家クラブ会員。

長崎県に生まれ、大阪、東京、三重を転々とし、現在は東京都台東区に在住。1994年にHP100LXと出会ったのをきかっけに、フリーライターとして雑誌、書籍などで執筆するようになり、1997年に上京して技術評論社に入社。その後再び独立し、2001年に「マイカ」を設立。

主な業務は、一般誌や専門誌、業界紙や新聞、Web媒体などBtoCコンテンツ、および広告やカタログ、導入事例などBtoBコンテンツの制作。

プライベートでは、井上円了哲学塾の第一期修了生として「哲学カフェ@神保町」の世話人、2020年以降は「なごテツ」のオンラインカフェの世話人を務める。趣味は考えること。ライフワークは「1000人に会いたいプロジェクト」

井上真花の公式ホームページはこちら

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