先日、車の免許を自主返納してきた。免許をやめるだけなら、更新をしなければいい話だ。それでもわざわざ手続きに行ったのは、区役所でもらえる記念品が目当てだった。台東区の場合、コミュニティバスの乗車券やタクシー料金の割引、協賛店舗での割引などの特典が受けられるという。どうせ辞めるならちょっとでも得したい、という根性で窓口に向かった。
結論から言う。私はこの日、泣く泣く2,150円を払った。しかも、本当は1円も払う必要がなかったのに、だ。これが「間違いだった」と気づくのは、手続きがすべて終わったあとのことになる。
経歴証明書には2種類ある。プラスチック製の経歴証明書と、「マイナ経歴証明書(スマホ版)」だ。前者は免許のかわりに身分証明書として使うもので、後者はマイナンバーカードに経歴情報が記録されるというもの。別途カードを持つのは面倒だし、マイナ経歴証明書のほうが手数料も安い。ならばそちらのほうがいいだろう、と当然のように思っていた。
ところが、窓口での体験は、想像をはるかに超える二度手間、三度手間だった。
まずマイナ経歴証明書を希望したところ、「証明写真が必要です」と言われた。しかし庁内に撮影機はなく、周囲にあるかどうかもわからないという。それがないと始まらないというので、Googleマップで「証明写真」と検索し、機械を見つけて1,000円払って撮影、窓口に戻った。
次に案内された担当者からは「マイナ経歴証明書でしたら写真は不要です」と言われた。え、じゃあ撮りに行かなくてもよかったの?と尋ねると、曖昧な笑顔で「ええ」とだけ返ってきた。
きっとそういう行き違いもあるのだろうと思い、「では写真は使わず、マイナ経歴証明書でお願いします」と言うと、今度は「その場合、区役所の記念品はもらえないかもしれません。カードを見せなければ対応してもらえないので」とのこと。事前に調べていた情報では、それで問題ないはずだったのだが、情報が古かったのか…。
プラスチック製の経歴証明書は、マイナ経歴証明書より手数料が高い。だが記念品がもらえないのでは意味がない。泣く泣く「ではプラスチック製で」と頼んだ。先ほど撮った写真も、これで無駄にはならないはず、と自分を慰めながら。
写真撮影に1,000円、カード作成の手数料に1,150円。あわせて2,150円。「記念品をもらってもプラスにならないのでは」と、だんだん不安になってきた。
しばらく待って必要書類にサインをし、手続きは完了。当日にカードがもらえるのかと思いきや、受け取りは2週間後とのこと。またここまで来るのか、とため息が出た。
しかし、本当のオチはこの先にあった。
最後に窓口で取消通知書などを受け取り、説明を聞いていたところ、担当者がさらりとこう言った。「この取消通知書か、経歴証明書のどちらかを持っていけば、区役所で記念品がもらえますよ」
……え? 私は思わず担当者の顔を二度見した。い、今なんと?
つまり、経歴証明書がなくても記念品はもらえたということだ。
ということは、最初から経歴証明書を作る必要など、どこにもなかったことになる。
いやいや、経歴証明書があれば何かと便利なはずだと調べてみたが、残念ながら特にメリットはないらしい。「身分証明書になる」とはあるが、それこそマイナンバーカードで事足りる。わざわざ2,150円もかけて、同じ役割のカードを財布にもう1枚増やす意味は、どこにもなかった。
結論。これから免許を返納する人には、声を大にして伝えたい。
身分証明書としてマイナンバーカードを持っているなら、証明書(カード型もスマホ版も)は「なし」で申請してほしい! 無料でもらえる「取消通知書」を受け取り、それを区役所に持っていけば、記念品は問題なくフルでもらえる。
残念ながら、現場の職員さんもこのあたりを十分把握していないようだ。私のように、納得できなくてもその場で言葉を飲み込まず、その都度きちんと確認することをおすすめする。