【週刊ポッドキャスト生活】#24 アワードやオリジナル作品にみるスタンスの違い

優良なPodcastコンテンツを発掘するアワードとして2019年から開催されている「JAPAN PODCAST AWARDS」、日本では2022年3月17日に第3回の受賞作品の発表と授賞式が行われました。

米国では、3月22日にポッドキャスト版のオスカー賞をめざす「アンビー賞(Ambies)」の発表が行われ、YouTubeとTwitchで授賞式がライブ配信されました。

https://www.ambies.com/

アンビー賞とは?

ポッドキャスト業界の企業や専門家による会員制の組織「ポッドキャスト・アカデミー」によって2021年に設立され、今年が2回目の授賞式となります。

アンビー賞にノミネートできるのは、2021年に少なくとも3回の配信が行われたポッドキャストになります。また、ポッドキャスト・アカデミーの会員であれば100ドル、会員以外は175ドルのエントリー費用が必要であるため、制作会社が作った作品が多く、かなりプロフェッショナルな趣きです。

アンビー賞は、25のカテゴリに178のノミネート作品が選ばれ、その中から各カテゴリの大賞が発表されました。25のカテゴリで、本格的で多彩な作品がノミネートされています。

その中で、「Podcast of the Year」「Best Reporting」「Best Original Score and Music Supervision」で受賞したのは「9/12」という番組です。

「9/12」は、Amazon MusicとPINEAPPLE STREET STUDIOS、WONDERYという会社が作成した番組。9・11のアメリカ同時多発テロがなぜ起こったのかということを検証するため、テロが起こった後の9/12以降の世界に焦点を当て、オリジナルの音楽とともに全7回、配信されました。当初はAmazon MusicとWONDERY+でのストリーミング配信でしたが、現在はAmazonオリジナルの作品として配信されており、Apple PodcastやSpotifyでも聴くことができます。

これらの賞の他に「GOVERNORS AWARD」というものも発表され、2021年に限らず、これまでにポッドキャスト界に貢献した番組が選ばれました。2022年の「GOVERNORS AWARD」は、本連載の第1回にポッドキャスト再燃のきっかけの番組として紹介した「Serial」が受賞しました。新しい番組だけではなく、古くからの番組にも焦点を当てるもののようです。

他にもあるポッドキャスト・アワード

第2回が開催された「アンビー賞」ですが、設立時には物議を醸しました。ポッドキャスと業界の企業や専門家が設立し、運営するのは会員制の団体。かなり商業的なものも感じます。

ポッドキャストのアワードというと、2005年から開催されている「PEOPLE’S CHOICE PODCAST AWARDS」があります。これは一般投票で選ばれるポッドキャストのアワードで、知名度もあります。

「PEOPLE’S CHOICE PODCAST AWARDS」は2月1日~7月31日までにノミネートを募集し、9月30日の国際ポッドキャストデーに合わせて発表されるため、第17回となる2022年のエントリーが開催されています。カテゴリが多く、幅広いポッドキャスト番組のエントリーを受け付け、7月1日~7月31日までにリスナーが投票を行います。

投票によって選ばれた各カテゴリの上位10番組が8月8日に発表され、選考委員によって投票されます。選考委員は、ジャーナリストやポッドキャストの有識者、古参ポッドキャスター、スポンサー、その他招待された個人を500人以内で選出。登録されているポッドキャスターにも、投票を求められます。その他、ランダムで投票したリスナーがレビューを求められ、最低20,000人のリスナーが最低5回投票するという、とても民主的なアワードです。

すでにこのようなアワードがあったため、多くのユーザーが「アンビー賞」に対し反発しましたが、ふたを開けてみると、アンビー賞はプロフェッショナル向けの賞であり、そもそも賞のテイストが違うようです。実際に開催された様子を見ても、住み分けができているように見えます。

アワードは、この他にも「iHeartRadio Podcast Awards」や「Webby Awards」のPodcastカテゴリなどがあります。それぞれ、さまざまな切り口でポッドキャスト作品を選出しているので、とても興味深いです。

各社でスタンスの違うオリジナル作品

これまでも、Spotifyで独占配信される「Spotifyオリジナル」やAmazon MusicやAudibleで独占配信される「Amazonオリジナル」などが増えていることをお伝えしていました。日本で開催された「第3回 JAPAN PODCAST AWARDS」でも、ノミネート作品の半数以上が特定のプラットフォームでしか聴くことができない作品です。

しかし、海外のアワードでは、そのような作品が少ない気がします。今回アンビー賞を受賞した「9/12」最初は、Amazon MusicとWondery+での独占先行配信のようでしたが、後から各プラットフォームからも無料で聴くことができるようになっています。

「Podcast of The Year」にノミネートされていた作品であるAppleオリジナルの作品「HOOKED」は、Appleオリジナルでありながら、最初からSpotifyやAmazon Musicなど他のプラットフォームでも聴くことができました。現在配信中のAppleオリジナルのポッドキャスト「Run, Bambi, Run」も現在3エピソードが各プラットフォームで聴くことができます。

ポッドキャスト関連アワードのスタンスもそれぞれで違いましたが、ポッドキャストのオリジナル作品も各社でスタンスが違っていて、興味深いところです。

【チームマイカ】佐藤新一(ポトフ) 

投稿者プロフィール

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佐藤 新一

2005年から配信する古参ポッドキャスター 。
2021年から日本ポッドキャスト協会の会長となりポッドキャストの普及に努める。

Whizzo Production 代表。広告代理店の営業や企画制作会社のWEBディレクターを経て独立。WEB制作・ポッドキャスト制作やライター業などを行う。
座右の銘は「常識とは、18歳までに身につけた偏見のコレクション」。

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