【週刊ポッドキャスト生活】#09  2022年のポッドキャストはどうなる?

2022年が始まりました。昨年は音声コンテンツが話題になりましたが、2022年はさらなる飛躍に期待したいところ。ポッドキャストや独立系サービスなどの音声コンテンツは、どうなっていくでしょうか?

ポッドキャストや独立系の音声配信サービスは、これまでも様々な取り組みを行なってきましたが、音声SNSであるClubhouseをきっかけに、話題に上がることが増えました。ただ、まだまだ大きなマーケットになっているとは言えません。今後、どのような動きが予想されるでしょうか。

Spotifyの躍進

ポッドキャストは長い間、Appleの独壇場でした。しかし欧米でポッドキャスト人気が高まるにつれ、新たなプラットフォームが増えてきました。なかでも目を惹くのは、音楽ストリーミングサービスのSpotifyでしょう。

Spotify は2018年7月、ベータ版機能としてポッドキャスト視聴をテストし始め、同年11月には誰でも配信者として登録できるようになりました。Spotifyの最大の強みは、iPhoneやAndroid、Mac、Windowsと幅広いデバイスでアプリをリリースしていること。Apple Podcastsの場合、Androidで視聴するにはサードパーティのアプリが必要でしたので、どの端末でもシームレスに聴けるSpotifyは有利でした。

一方、Appleは、それまで音楽とポッドキャストを音楽アプリiTunesで聴けるようにしていましたが、2017年にApple Podcastsへとブランド名を変更した際にポッドキャストを分離し、別アプリにしてしまいました。Spotifyとは逆の戦略です。もし分離せずにApple Musicと融合していれば、Androidにも対応できていたでしょう。

2018年からポッドキャストに取り組んだSpotifyは、精力的にポッドキャスト関連サービスや企業の買収に乗り出し、2019年にはサービス開始以来、初めて黒字化しました。その収益も、買収に注ぎ込んでいます。ポッドキャスト作成ツール「Anchor」やポッドキャスト制作会社「Gimlet」「Parcast」「The Ringer」、ポッドキャスト発見ツール「Podz」、ポッドキャストのホスティングや広告を配信する「Megaphone」、ホスティングやプロモーションを行う「Whooshkaa」などを買収し、他にも関連サービスの買収を行っています。

2022年以降もポッドキャストに注力していくというSpotifyが、ポッドキャストを牽引することになるのは間違いないでしょう。

今後のポッドキャストの動向

ポッドキャスト業界の今後の動向は、Spotifyの動きから予測することができます。2021年、Apple Podcastsでは有料サブスクリプションが可能となりましたが、米国ではSpotifyもポッドキャストの有料サブスクリプションや寄付などのマネタイズツールを提供しています。グローバルへの展開を予告しているので、日本でも利用できるようになるでしょう。

2022年1月6日、Spotifyは米国で新しいポッドキャスト広告ツールをスタートしています。2022年はポッドキャストのマネタイズと広告の話題が増えてくるでしょう。

米国のSpotifyでは、動画対応も始めています。動画ポッドキャストはAppleでも古くから提供されている機能ですが、再燃したポッドキャストブームは「音声」のみでした。動画ポッドキャストは、かつてのものとは違う形で取り入れられるのではないでしょうか。GoogleもYouTube Musicでポッドキャストの視聴ができるようにすると発表しています。今後は、ポッドキャストと動画のクロスメディアが増えるでしょう。

これに伴い、TikTokやInstagramのリール、YouTubeショートなどの短尺動画との組み合わせも増えていくことが予想されます。ポッドキャストの得意分野は、ファンとの関係を深めたり、自分自身をより深く知ってもらったり、じっくりと学習に取り組んだりすることです。反対に、手軽に学べたり、知らない人にリーチしたり、検索して見つけてもらったりすることは、あまり得意ではありません。この部分は短尺動画が得意ですので、補完し合うものになる可能性はあります。

期待される音声検索

今後は、音声検索がより一層進んでいくでしょう。Spotifyの場合、ポッドキャストの番組名、エピソードタイトル、説明文から検索します。しかし、Apple PodcastsやGoogle Podcastsでは、すでに音声検索が始まっています。ポッドキャストで話している内容を音声分析し、検索結果に反映するようになってきているのです。

英語と比べると日本語は複雑な言語であるため、音声検索機能の開発は少し遅れていますが、徐々に精度が上がってきています。今後の実装が期待されます。

聴きたいポッドキャストが見つけにくいというのは長年の課題です。その課題をクリアするため、ポッドキャストのダイジェストを自動作成するツールなども出てきています。

音声SNSのようなライブ配信は、ポッドキャストを新たに知ってもらうきっかけになります。SpotifyのGreenroomというライブ配信アプリは、まだ日本語対応が十分ではありませんが、今後は対応していくようです。そうすると、ライブ配信とポッドキャストの組み合わせも増えるでしょう。

Spotifyのみの独占番組や独自機能にも力を入れています。「Music+Talk」という音楽を流す配信や、投票機能、アンケート機能など、傘下のAnchorで配信してSpotifyで聴く場合に表示される機能が増えています。これらの機能はNetflixやDisney+など動画配信サービスが先行している戦略を参考にしていると考えられ、独自番組などは今後も増えていくでしょう。

競合となるApple PodcastsやAmazon Musicも同様に独自番組や機能を展開することが考えられます。とくにAmazon Musicは、後発ながらSpotifyの動向に倣っているところも多いので、今後のAmzon Musicは注目です。

大手SNSのFacebookもポッドキャストへの取り組みを発表しています。2021年はポッドキャストのプラットフォーム争いの年だと予想され、実際その通りになりました。2022年は、この動きがさらに激化することになりそうです。GoogleやAmazonなどが資本面で有利と思いましたが、現状を見ると数々の買収と音声のみに注力した事業であるSpotifyが抜きん出ています。この牙城を崩すのは、まったく新しい企業なのかもしれません。

独自の番組は、プロのクオリティで制作されるものが多くなります。ラジオ局や制作会社のコンテンツも増えてきており、ポッドキャスト全体のコンテンツのクオリティも上がっています。その中で個人の配信者も横並びで扱われるのも面白いところ。質だけではなく、アイデアや企画次第で注目される可能性があります。番組に工夫が現れ、バリエーションがどんどん広がっていくのではないでしょうか。

2022年は、プラットフォーム企業による独自コンテンツ、独自機能が進み、番組のバリエーションが増えるでしょう。ただ配信するのではなく、番組専用サイトや書き起こしなどとともに、動画やライブ配信との組み合わせも増える年になると思われます。音声検索が進めば、ポッドキャストの探し方が変わってくる年になるのではないでしょうか。

皆さんは、どのような未来を予測しますでしょうか?

【チームマイカ】佐藤新一(ポトフ) 

投稿者プロフィール

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佐藤 新一

2005年から配信する古参ポッドキャスター 。
2021年から日本ポッドキャスト協会の会長となりポッドキャストの普及に努める。

Whizzo Production 代表。広告代理店の営業や企画制作会社のWEBディレクターを経て独立。WEB制作・ポッドキャスト制作やライター業などを行う。
座右の銘は「常識とは、18歳までに身につけた偏見のコレクション」。

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