【週刊ポッドキャスト生活】#06 音声配信は職業になるのか?

前回までは、欧米に大きく遅れを取りながらも、日本で音声メディアが再注目され始めた経緯について解説しました。今回は、ちょっと視点を変えて、音声メディアの収益化について考えてみます。Podcastなどの音声メディアは、YouTube(ユーチューブ)のように収益化できるものなのでしょうか。音声配信で生計を立てるPodcaster(ポッドキャスター)のような職業は、今後認知されるようになっていくのでしょうか。

Podcasterは生まれるか

動画共有サービス「YouTube」の配信で生計を立てるYouTuber(ユーチューバー)という職業が生まれ、小学生の憧れの職業に挙げられるようになったのは最近のことですが、今は子どもたちの憧れの職業となっています。同じようにPodcastで生計を立てるPodcasterが現れて、子どもたちの憧れの職業になることはあるのでしょうか。

YouTubeでは、条件を満たしたユーザーに対して再生数などに応じて報酬を支払う仕組みがあります。BlogやPodcastと違い、YouTubeの動画はYouTubeのサイトやアプリでのみ閲覧ができるので、再生数の計測やコントロールが可能であることから、報酬を支払う仕組みが作りやすかったというところがありました。

そもそもPodcastは、再生数の計測を正確に測るのが困難で、いまだ米国でも統一された計測方法が確立されていない状況です。従って、米国ではPodcasterという職業は認知されていますが、音声の視聴数により報酬が支払われるというものではありません。

YouTubeは米Google社が運営しているため、Google社が収益化機能を提供することで、YouTuberが収益を得られるようになりました。日本では、独立系サービスである「stand.fm」が、YouTubeのような収益化機能を実装しました。Podcast配信する仕組みがないstand.fmだからこそ、収益化が可能だったのです。独立系サービス「Voicy」も、現在は配信者に対してスポンサーをマッチングさせるという形で配信者に還元する方法をとっています。今後は、YouTubeのように再生数に応じた収益化機能を導入すると予告しています。独立系サービスでは、このほかサブスクリプションを行うメンバーシップ機能や、投げ銭機能など、再生数以外の収益化機能が導入され始めています。

しかしPodcastの場合、こういった独立系サービスやYouTubeとは違い、運営主体が存在していません。そのため、収益化機能を実装するには、Podcaster自身がその機能を用意していく必要があります。ということで、最近は独自システムや外部サービスなどを使って独自のサブスクリプションやクラウドファウンディング、投げ銭などを導入している番組もあります。

そんな中、Apple PodcastsやSpotifyでもサブスクリプションを導入し始めました。今後、情勢がどうなっていくか注目していきましょう。

世界で最も稼ぐPodcaster

米『フォーブス』誌にて、2020年にポッドキャスト番組「ジョー・ローガン・エクスペリエンス」のホストであるジョー・ローガンが、世界で最も稼ぐポッドキャスト配信者ランキングで1位に選出されました。Appleからも月間ダウンロード数が1億9,000万件で世界1位と認定されており「トップ・ポッドキャスター」と認知されています。

ジョー・ローガンも広告モデルやリスナーからのクラウドファンディングなどを行っていましたが、現在は広告やクラウドファンディングは止め、Spotifyと独占契約をしてSpotifyでのみ配信しており、毎日2〜3時間の配信を行っています。ジョー・ローガンは、プロのPodcasterと言えるでしょう。

同じく、米『フォーブス』誌にて発表された、2020年に最も稼いだYouTuberは、9歳のライアン・カジくんでした。

ライアンくんの再生数と収入額をジョー・ローガンと比較すると面白いことがわかりました。

  • YouTuberの最高年収は、9歳で2,950万ドル。再生数は年間で122億回。
  • Podcasterの最高年収は、54歳で3,000万ドル。再生数は年間で22.8億回。

ジョーローガンは、再生数だけでいえば1/5です。それにも関わらず、最高年収はライアンくんを上回っています。また、Spotifyとの独占契約を交わす際、契約金として9,300万ドル(約100億円)が支払われたと言われています。

以上のことから、Podcasterの収益は、再生数に応じた報酬より、番組毎に対する広告やスポンサー契約などが優っており、YouTuberとは違った構造になっていると言えます。

Podcastを配信するメリットは?

生計を立てられるほど収益を上げているYouTuberはごく一部ですが、ポッドキャストや独立系サービスでも同じくほんの一部です。配信者の皆さんが収益を目的にポッドキャストや音声配信をしているかと言えば、そうではありません。

収益化の道があれば、企業からの参入は増えますし、業界も活性化するのは間違いありません。ですが、配信者自身にとって、Podcastを配信するメリットはどこにあるのでしょうか。

配信者に話を聞いてみると、「ポッドキャストの配信を始めてから、配信者同士やリスナーとの交流が始まり、ポッドキャストをきっかけに知人が増えて世界が広がった」と言います。今のところ、Podcasterが受けるメリットは、収益化以外のところにあるのかもしれません。

次回は、収益化以外の音声配信のメリットを取り上げたいと思います。

【チームマイカ】佐藤新一(ポトフ) 

投稿者プロフィール

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佐藤 新一

2005年から配信する古参ポッドキャスター 。
2021年から日本ポッドキャスト協会の会長となりポッドキャストの普及に努める。

Whizzo Production 代表。広告代理店の営業や企画制作会社のWEBディレクターを経て独立。WEB制作・ポッドキャスト制作やライター業などを行う。
座右の銘は「常識とは、18歳までに身につけた偏見のコレクション」。

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