【コラム】向田邦子さんと坂本九さんの飛行機事故に関する誤解について考えた

先日、テレビのニュースに向田邦子さんが出て、ふと思ったことがありました。

向田邦子さんと坂本九さんは同じ飛行機事故で亡くなったと思っている人が多いようで、実は私もそうでした。でも、実際は違う飛行機事故だったんですよね。向田邦子さんは遠東航空103便で、坂本九さんは日本航空123便。事故が起きた時期も4年ほど隔たりがあります。

では、私はなぜこの2人が同じ飛行機事故で亡くなったと思っていたのでしょう。それも私ひとりが勘違いしていたわけではなく、ほかにもそういう人がいるわけですから変ですよね。そのことをFacebookとTwitterに書いたところ、さまざまな反応がありました。

Twitterでは「ずっと同じ飛行機だと思ってました。もしかしたら懐かしのスター等の番組があると同じような括りで放送されるからでしょうか」「数年開きがあるんですけど、今となってはなんでしょうね。昭和がそれだけ遠くになったということでもあるのかもですね。お二人にピンとこない世代からすればどちらも昭和に活躍した人という括りでしかないので」という声が。

Facebookでも似たような意見が多かったのですが、私はオンタイム世代なので「おふたりにピンとこない世代」ではありません。「オンタイム世代なのになぜそう思ったの?」という疑問が多く寄せられ、自分でもその理由がよくわからず、どんどん泥沼にはまっていきました。

そんななか、こんな情報が。

「マンデラエフェクトと言うものがあるらしいです」

マンデラエフェクトという言葉は初耳だったのでWikipediaで調べてみたところ、「マンデラ効果(マンデラこうか 英: Mandela Effect)とは、事実と異なる記憶を不特定多数の人が共有している現象を指すインターネットスラング、およびその原因を超常現象や陰謀論として解釈する都市伝説の総称である」と書かれていました。

本件は、まさにそんな現象のように見えます。こんな言葉があるくらいだから、ほかにもそういう事故や事件があったのでしょう。しかし、多くの事件や事故はそうではありません。

では、何故一部の出来事にだけマンデラエフェクトが起きるのでしょうか? Wikipediaには「怪奇現象」と書かれていましたが、そこになにかしら共通の理由があるのではないでしょうか? たとえば、一世を風靡した「ノストラダムスの預言」のように、ひっそりと人々の心の中に入り込んだ情報ソースがどこかにあるとしたら?

その後もさまざまな推理、仮説が寄せられて、私のFacebook投稿はとてもにぎやかになりました。たとえばこんな声も。

「話題性の高い事案があると、それに似た事案の記憶を飲み込んでしまうような感じですね。例えば最近では、小田急の刺傷事件と白金高輪の硫酸事件を混同している人を確認しています。心理的な負担になるような情報はまとめてしまう無意識の反応なんじゃないでしょうか」

「関連ドラマはほぼ観てますが、さすがにそういう大誤報はなかったです。ドキュメンタリーはすべては観ていませんが、むしろドキュメンタリーが間違うとはちょっと考えにくいです。ノーチェックなネット記事が火元じゃないかと思うのですが」

これについて、当時はまだネットは普及していませんでしたが、何年も経ったあと、そういった誤報を流したネット記事があったということは大いにありえます。私自身、そういう記事を見て自分の記憶を塗り替えたのではという気がしてきました。

この問題はとても興味深いので、これからも考えていきたいと思います。やっぱりインターネットって「集合知」だったんですね。こんな風にいろんな人の見方が集まってくる場所なんて、ほかにない。インターネットをもっと有効活用したいと思った次第です。

井上 真花(いのうえみか)インタビュアー

投稿者プロフィール

有限会社マイカ代表取締役。PDA博物館の初代館長。日本冒険作家クラブ会員。

長崎県に生まれ、大阪、東京、三重を転々とし、現在は東京都台東区に在住。1994年にHP100LXと出会ったのをきかっけに、フリーライターとして雑誌、書籍などで執筆するようになり、1997年に上京して技術評論社に入社。その後再び独立し、2001年に「マイカ」を設立。

一般誌や専門誌、業界紙や新聞、ネットコンテンツ、広報誌などの制作をするかたわら、電子書籍専門の出版社「マイカ出版」を立ち上げ、オリジナル作品をパソコンおよび携帯電話の電子書籍の販売サイトにて販売している。

プライベートでは、井上円了哲学塾の第一期修了生として、哲学カフェ@神保町の世話役を担当。趣味は考えること。ライフワークは「1000人に会いたいプロジェクト」

井上真花の公式ホームページはこちら

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