【インタビュー】No.0034 「ぐんまーソングライター」から「yoshimi」へ。「生の私を見てもらいたい」

「ぐんまーソングライター」であり、群馬県の観光特使でもあるyoshimiさん。実は私、某媒体の仕事で10年前に彼女をインタビューしたことがありました。当時の彼女のイメージは、ジャズダンスを踊り、美しい声で歌うかっこいいシンガーソングライターでした。しかし年月は過ぎ、いつの間にか子どもたちに人気の歌うお姉さん「ぐんまーソングライター よしみん」というキャラに。私のなかで、どうしてもその2つのキャラが結びつかず、頭の中は「?」でいっぱい。そこで、謎を解くためにインタビューを依頼したところ、「いいですよ」とのお返事。ということで、今回もZoomを使ってインタビューを行いました。


井上 10年前に取材でyoshimiさんにお会いしたときは、今とは違うイメージでした。いつから「ぐんまーソングライター よしみん」に?

yoshimi そうですよね(笑)。私は群馬出身なのですが、子どもの頃から都会や海外に強い憧れを抱いていました。それで、アメリカにダンス留学したぐらいに。ところが、遠く離れてみると群馬が恋しくて、恋しくて。

そこで「ぐんまが好き」という曲を書いたところ、多くの人に支持されたんです。曲の人気が高まり、新聞に取り上げられるようになり、イベントに呼ばれるようになって、いつの間にか私、群馬県の観光特使になっていました。「ぐんまーソングライター」と名乗り始めたのは、その頃だったと思います。

ぐんまーソングライター よしみん時代のステージ写真

井上 ぐんまーソングライターのよしみんと、10年前のyoshimiさん。私には違う人のように見えるんですけど、どっちがほんとのyoshimiさんなのかしら。

yoshimi どちらも私です。とはいえ、「ぐんまーソングライター」として活動するのに葛藤はありました。私が思い描く「yoshimi」というキャラは、もっとクールなイメージ。正直「ぐんまーソングライター よしみん」というキャラにはギャップを感じていました。

ただ、私が「よしみん」としてステージに上がると、観客のみなさんが笑顔になるのは事実。その笑顔を見て、受け入れられる喜び、求められる幸せを知りました。

井上 笑顔を見て、嬉しかったんですね。

yoshimi はい。とくに子どもに好かれるのは嬉しかった。なぜか子どもたちの受けがよくて、初めて会った子どもでも、帰るときは泣いて嫌がるほど。なぜこんなに子どもに好かれるのかはわからないんですけど……。

私が「歌を歌おう」と決めたきっかけは、子どもでした。留学してLAに住んでいた頃、近くには移民の方々が多く、国籍や貧富の差、人種差別など様々な事情でお父さんやお母さんが普通の仕事につけない家庭もあり、子ども達は制限のある生活を強いられていました。

彼らが遊んでいるのを見て声をかけ、少し話をしたことがありました。そのとき何気なく「君たちの夢は?」と尋ねたら、彼らは険しい表情で「なにを言ってるの。ぼくらは夢なんてもっちゃいけないんだよ。ぼくらが夢を持ったところでどうにもならない」と。それを聞いた私は、とてもショックを受けました。私はなんて平和ボケしていたのだろうと。彼らの境遇をよく理解できていなかったんですね。

でも、彼らに「目標をもって進むことは無駄」だと思って欲しくない。自分の未来を諦めないでほしい。そのことを彼らに伝えるため、私はなにができるんだろう……と。私にできるのは「歌う」ことと「踊る」ことだけだから、その2つを使って子ども達に希望を伝えていきたいと思ったんです。

「子どもたちにメッセージを届けたい」という思いが、私の原点。そのために、これまでいろいろやってきたけど、正直あまりうまくいかなかった。でも「ぐんまーソングライター よしみん」になったことでそれが実現できたんです。そう気づいたとき、「じゃ、もっといろんなことができるのでは?」と思いました。

井上 たとえば、どんなことを?

yoshimi 2018年と2019年に「キッズ・コンサート」を開催しました。当初、地元の子どもたちを呼んで一緒にコラボして楽しむというコンサートでいく予定でした。ですが、進めていくうちに考えが変わっていきました。

確かに子どもたちは「よしみん」である私を好きだけど、「yoshimi」である私も私。だから、両方見て欲しいと思うようになったんです。そこで全体を2部に分け、1部は子どもたちとのコラボ、2部はミュージカルにしようと考えました。

井上 ミュージカルですか。それはどんな内容?

yoshimi ショーガールになりたい女の子が夢に向かって進んでいくというもので、脚本も自分で書いたんですよ。それまでミュージカルなんてやったこともないくせに(笑)。お話には、ショーガールになりたくて葛藤しているシーンがあり、そこで前衛的なダンスを披露しました。最後はショーガールになった私がセクシーなダンスを踊ります。子どもたちはきっと「あのよしみんが!」とビックリしたと思います(笑)。

井上 未経験なのにシナリオまで書くなんて、ほんとすごい! yoshimiさんって、見た目と行動にギャップがありますよね……

yoshimi はい、行動力だけはすごいんです(笑)。でも私だけじゃない。誰だって「こんなことをやりたい」という思いがあれば、あとはなんとかなります。私の場合、周りの人がなんとかしてくれているのだと思いますが(笑)

井上 周りの人は、なぜyoshimiさんを助けるの?

yoshimi きっと初めは私の想いや企画に共感し、応援してくれているのでしょう。でも、そのうちに現実が見えてきて「これは大変だぞ」と(笑)。そう感じ始めた頃には、嵐に飲み込まれていて手遅れ状態(笑)。申し訳ないのですが、でもそういう方々に助けられたり、ときには叱られたりしながらここまで来たので、本当にありがたいと思っています。

井上 最後に、これからのyoshimiさんについて教えてください。

yoshimi そうやって、これまでいろんな方に応援していただきました。しかし、シビアな目で見ると、コアなファン層は広がっていない。 「もっと多くの人に歌を届けるにはどうしたらいい?」「長く愛され続けるには、何が必要?」……そのことをずっと考えながらいろいろチャレンジしてきましたが、期待していたほどの手応えは感じられないまま時間ばかりが過ぎていく。私の力不足というか限界を感じ、どうしたらいいかわからなくなっていました。

そんなとき、芸能活動を30年以上続けていて、今もたくさんのファンがついている先輩アーティストとの出会いがありました。その方との交流を通じて、今まで見えてなかった方向から物事を見たり、気付かなかったことに気付けたりするようになりました。きっとそこに私に足りない「何か」がある。

そこで心機一転、もう一度「yoshimi」をやり直す気持ちで1からスタートすることにしました。今度は私ひとりではなく、新しいスタッフさんと一緒にやります。なんでもひとりで決めるのではなく、スタッフさんと「こういうことをしたいんだけど、どう思いますか?」と相談しつつ、一歩ずつ確実に歩いて行こうと思っています。

井上 なるほど。今回、SNSのアカウントもリニューアルしたんですよね。ということは、これまでの「よしみん」ではなくなってしまうの?

yoshimi いいえ。音楽や活動で夢を追い続けたいという想いは変わりませんし、これからも「yoshimi」にしかできないステージを追求しきます。そういう意味では、今まで通りです。ただ、やり方は変えていかなければならないと感じました。

これまで活動を宣伝するツールとしてSNSを活用してきました。「いいね!」の数を増やしたり、コメントをつけて会話をすることを続けてきましたが、実際うまく活用できているとは言えない状況です。

たしかにSNSは告知にとても有効な手段ですし、「いいね!」やコメントでみなさんと交流することは大切です。しかし「いいね!」の数が多いからといって、その分ライブに来てくださる方が増えているわけではない。

ほかのアーティストさんにもお話を聞いてみましたが、同じような悩みを抱えている人は多いようです。そこで、SNSの使い方を一度見直して、コアなファン層を広げる方法を模索してみようと思いました。

アカウントをリセットをすることで、今まで繋がっていた方々と離れてしまうのは、とても不安です。みなさんがまた「いいね!」を押して下さる保証はどこにもありません。もしかすると、そのまま忘れ去られてしまうかもしれない。でも、私を本当に応援して下さる方は、きっと戻って来てくれると信じています。

井上 そうですね。SNS以外での接点を持つことも大事ですし。

yoshimi はい。ファンの方と直接お会いして、一緒に音楽を楽しむ空間や時間を大事にしたいという思いはあります。もちろんきれいに整えられたCDの歌声も、加工した写メ投稿も否定しません。ですが、私は「生のyoshimi」を見て、声を聞いてほしい。

井上 そのために、今やっていることはありますか?

yoshimi 今のyoshimiをたっぷり詰め込んだ新しいアルバムを製作しています。群馬、東京はもちろん、それ以外の都市でもライブがしたい。そこでたくさんの方々と出会えたらいいなと思っています。

SNSアカウントをリセットし、ホームページもリニューアルしました。これからまた1から始めます。まずは10月21日、ライブの生配信を行います。詳細は私のホームページで告知していますので、よかったらご覧くださいね。

http://yoshimin.com/

井上 真花(いのうえみか)

井上 真花(いのうえみか)インタビュアー

投稿者プロフィール

有限会社マイカ代表取締役。PDA博物館の初代館長。日本冒険作家クラブ会員。

長崎県に生まれ、大阪、東京、三重を転々とし、現在は東京都台東区に在住。1994年にHP100LXと出会ったのをきかっけに、フリーライターとして雑誌、書籍などで執筆するようになり、1997年に上京して技術評論社に入社。その後再び独立し、2001年に「マイカ」を設立。

一般誌や専門誌、業界紙や新聞、ネットコンテンツ、広報誌などの制作をするかたわら、電子書籍専門の出版社「マイカ出版」を立ち上げ、オリジナル作品をパソコンおよび携帯電話の電子書籍の販売サイトにて販売している。

プライベートでは、井上円了哲学塾の第一期修了生として、哲学カフェ@神保町の世話役を担当。趣味は考えること。ライフワークは「1000人に会いたいプロジェクト」

井上真花の公式ホームページはこちら

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