【コラム】「アマビエの商標登録」という自己矛盾

先日、「電通がアマビエの商標登録を出願」というニュースが報道され、話題になりました。その後ネットでの批判が集中したため、7月6月に商標出願を取り下げたとのことです。

考えてみると、これって非常によくできたネタですよね。アマビエは「私をコピーして拡散しなさい」という妖怪なのに、そのアマビエのコピーを禁じるだなんて!

※「アマビエ」をご存じない方のために、Wikipediaの解説を引用します。

アマビエは、江戸時代後期に製作されたとみられる瓦版に類する刷り物に、絵と文とが記されている。肥後国(現・熊本県)の夜ごとに海に光り物がおこったため、土地の役人がおもむいたところ、アマビエと名乗るものが出現し、役人に対して「当年より6ヶ年の間は諸国で豊作がつづく。しかし同時に疫病が流行するから、私の姿を描き写した絵を人々に早々に見せよ。」と予言めいたことを告げ、海の中へと帰って行ったとされる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9E%E3%83%93%E3%82%A8

自己矛盾の妙味をここまで表現できたネタって、これまでなかったんじゃないかしら? ……いやいや、そんなことはありません。禅問答の公案には、この手の「よくできた」話がたくさんあります。

たとえば「隻手音声(せきしゅおんじょう)」は、江戸時代中期の禅僧、白隠和尚が考えた代表的な公案のひとつ。「両手を打ち合わせると音がするが、隻手(=片方の手)ではどんな音がするか」という意味だそうです。

そこで、みんな「はて?」と首をひねります。「片方の手で音を出す? どうやって?」となるわけです。……まあ、実際に音はしないわけですが(笑)。片手で、手を打ち合わせる。これも立派な自己矛盾です。

「アマビエの商標登録」という言葉も、ちょっとこれと似ているような気がしました。アマビエが商標登録されたとすると、その先、アマビエはどうなるのか? 彼(彼女)のアイデンティティはどうなるの? これ、もしかして新しい公案になりうる?

こんな話はほかにもありそうですよね。この記事を読んでなにか思いついた方は、ぜひ井上までご一報ください!

井上 真花(いのうえみか)インタビュアー

投稿者プロフィール

有限会社マイカ代表取締役。PDA博物館の初代館長。日本冒険作家クラブ会員。

長崎県に生まれ、大阪、東京、三重を転々とし、現在は東京都台東区に在住。1994年にHP100LXと出会ったのをきかっけに、フリーライターとして雑誌、書籍などで執筆するようになり、1997年に上京して技術評論社に入社。その後再び独立し、2001年に「マイカ」を設立。

一般誌や専門誌、業界紙や新聞、ネットコンテンツ、広報誌などの制作をするかたわら、電子書籍専門の出版社「マイカ出版」を立ち上げ、オリジナル作品をパソコンおよび携帯電話の電子書籍の販売サイトにて販売している。

プライベートでは、井上円了哲学塾の第一期修了生として、哲学カフェ@神保町の世話役を担当。趣味は考えること。ライフワークは「1000人に会いたいプロジェクト」

井上真花の公式ホームページはこちら

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