【旧車生活】ドナドナ(災いは忘れた頃にやってくる。)

伊豆修善寺からのドライブの帰り、「あと少しで到着~♪」とほっとした次の瞬間! 後部からガリガリっと何かが壊れる音が響きました。試しに軽くアクセルを踏んでも後輪へ動力が伝わらず、ドライブシャフトが虚しく空転しているのが分かります。この状態は、チンク乗りならピンとくるドライブシャフトのスプラインか、スリーブ辺りに問題が発生した証拠。首都高速を下りる寸前だったので、すぐにギヤをニュートラルへ入れ、下り坂の惰性で首都高の出口を降りました。

幸運なことに出口にある交差点は赤信号。ここを右折しなければなりません。私が先頭なので、ハザードを点けて車を降りたら、右手を上げて後続車へ異常を知らせます。窓枠にタオルを添え右肩をあて、青信号になるのを待ちます。信号が変わるのと同時に、力を込めて地面を蹴り、窓から突っ込んだ右手でハンドルを切りながら一気に右折。チンクを安全な道路脇へ移動します。停止板を設置してから、マグライトを片手に後部の下から覗くと、案の定、左のドライブシャフトジョイントから完全にスリーブが離れ、シャフトの先にあるスプリングが見えています。

本当なら、シャフトの端はスリーブが被せてあり、4本の太いボルトでドライブシャフトジョイントとネジ留めされています。ところが、全てのボルトは抜けてなくなり、辛うじてスリーブがシャフトに引っかかっているありさま。これでは自走は無理です。自宅までは3km弱。時刻は20:00を過ぎたところ。ロードサービスへ連絡しても小一時間は待たねばなりません。「行くか……」家内にハンドルとブレーキを託し、私が動力となって後ろから押します。チンクの車重は車としては軽い500kgですが、腰と太腿はパンパン、息も絶え絶え。300mも進まないうちに見込みの甘さを後悔しました。

少し進んでは息を整え、また進んでは休むの繰り返し。「どこまでも行こう」の歌が脳内をループ。投げ出しそうになる気持ちを宥めすかして進みます。平坦だと思った道が登り坂だったり、路肩がかなり斜めだったりと意外にも困難な道のり。無我夢中でチンクを押したので、最初の1キロを過ぎた頃にはすっかり疲労困憊。肩で息をしている私を家内が心配してくれます。傍目からは、小さな車をヨタヨタ押す姿はさぞかし滑稽だったでしょう。ところが、多くの人が車を止めて声を掛けてくれました。わざわざバイクから降りて、一緒に押してくれる人までいました。やがて、力の入れ方にコツがあることに気が付き、効率良く長い距離を押せるようになりました。そして、とうとう3kmの道のりを2時間近く掛けて家に辿り着いたのです。

その後、チンクはドナドナされました。ドライブシャフトジョイントには、折れた4本のボルトが残っていました。破断を起こした原因を探るため、タイヤ側からベアリングを含めて分解して調べて頂きましたが、直接の原因は見つからず。ボルトの材質、ジョイントの穴の精度が悪く、少しずつボルトが緩んだ結果、負荷が掛かった箇所に金属疲労が蓄積して破断という推察。吟味した新しいボルトとジョイントを左右とも交換してもらったので、定期的にボルトのトルク管理をしたいと思います。もしも、エンジン、ミッション、ドライブシャフトの組みつけにバランスが悪い箇所があり、負荷がジョイント、スリーブ周辺に掛かっているのなら大仕事。分解して組み直ししかありません。そこまでやるのならミッションのオーバーホールとCVジョイントへの交換も考えます。(かなりの出費を覚悟しないと……)

きつかったけれど、この世知辛い世界に優しさが残っていたことを教えられた貴重な3kmでした。

水瀬 涼介

水瀬 涼介ソリューションサービスチームリーダー

投稿者プロフィール

頭のなかにある景色を言葉にしていく楽しさを真花さんに教わり、
「カタチとして残るもの」へのあこがれを抱いてマイカのメンバーに加わった。

趣味は愛する旧車のメンテナンス。
愛車は1971年式のFIAT500-L

●これまでの主な仕事
外資系物流業界に長く従事。システム部、キーアカウント、4PLなど社内のあらゆる部署を経験したオールラウンダー。

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