【旧車生活】夏が来れば思い出す(まだやけど)

桜の便りも聞かないうちに真夏の話もどうかと思いつつ、オーバークロックに続き、冷却ネタです。エアコンが付いていない旧車は、夏が大の苦手。吊り下げタイプの後付けクーラーが搭載できるMiniやVWはまだしも、非力なチンクの空冷エンジンにクーラーのコンプレッサーを動かすゆとりはありません。40度に迫る昨今の夏。冷房を付けずに走るのは命の危険を伴います。せめてドライブは早朝か夜間を選んで出かけましょう。

さて、旧車で涼を取る装備と言えば、三角窓。ベントと強制送風ファンによる換気装置が普及していなかった時代のハイテク装備です。この小さな窓は良くできていて、走ってさえいれば、かなりの風量をキャビンに取り込めます。でも、悲しいかな、車が止まったら最後。そのため、扇風機を取り付けている方が多く見受けられます。

うちのチンクは、助手席の足元にツインファンの扇風機を装備しました。それぞれの風向が上下左右に変更でき、ファンの回転数も無段階で変えられるという優れもの。また、チンクのルーフにはキャンバストップが付いていますが、暑さ対策のためにキャンバストップを開けるのは厳禁。照りつける太陽に焼かれて熱中症になってしまいます。そこで、古参のチンク乗りたちは少しでも涼を取るために、ルーフの開口部にスダレを取り付けて日光を防ぎ、風だけを取り入れる涙ぐましい努力をしているのです。

人の体は、暑いと汗をかきます。背中やお尻、そして太腿の裏など、シートに触れている部分が汗で張り付くのはなんとも不快。体ができるだけ触れないメッシュ式のサポートクッションも効果が期待できますが、何かもっと良いものはないかと探していたところ、気化熱を利用して温度を下げるクッションというものを発見!

形状は二枚のゴムシート(片方の裏に無数の突起があり空間を確保)で湿らせた保水性の高い繊維をサンドイッチ。その空間へ小さなファンから空気を送り込んで気化熱を奪う単純な仕組み。長距離トラックの運転手さんが「冷え過ぎる」とレビューを書いていましたが、どうせ、直ぐに体温でぬるくなるものと高を括っていたら、びっくり! 本当にお尻が冷たくなり、しかもそれが1時間以上持続しました。

さて、チンクは空冷エンジンです。エンジンの動力で回したファンにより、取り込んだ外気を吹き付けてエンジンを冷却する仕組み。当然、暑い夏は空冷エンジンにとって過酷な季節。夏にしばらく走った後でリアエンジンフードに触れようものなら火傷を負うくらい熱くなっています。基本的な対策としては、バランスの良いエンジンをキチッと組み上げて、しっかりメンテしていればオーバーヒートを起こすようなことはないそうです。その上で、大型のオイルパンに換装して冷却するオイル量を増やす。マフラーに耐熱バンデージを巻き、遮熱板を設置。フードを持ち上げてエンジンルームの熱を逃す。熱の影響を受けにくい上方向や左奥にコイルを移動するなど色々工夫するのも楽しみの一つです。

クルマに乗っていると、ドライブの間にちょいと停車するというシチュエーションは多いもの。しかしうちのチンクは、しばらく走った後でちょっとだけ停車し、また走り出すということが苦手です。

その理由を説明しましょう。チンクは停車中に冷却ファンを回すことができません。つまり、加熱したエンジンの熱で、エンジンルームの中はどんどん熱せられていくのです。その結果、停止後10~15分で再始動しようとすると、燃料ホース内のガソリンが気化。そこから発生した泡がキャブレターへ送られ、始動が難しくなってしまうという訳です。

そこで、燃料ホースの取り回しを変えてみたり、断熱などの工夫、それにキャブレター周りに霧吹きで水をかけたりもしましたが、解決の決定打にはなりませんでした。ならば、キャブレター回りをファンで強制冷却しちゃおうというアイデアがこれ。

使用したのは、バイク用のラジエターファン2基。エンジンを切り、鍵を抜いても回せるように工夫しました。念のため、リレーを介してエンジンフードを脱着しやすいように、コネクターで切り離せるようにしました。

さらに効率を高めるために、アルミ板のシュラウドを作って完成。最初は片側が吸気、もう一つが排気にしたのですが、両方吸気の方が効率が高いことが分かり今に至ります。停車する少し前からファンを始動して、冷却を続けます。このファンの効果はかなり高く、今までのような長時間スターターをクランキングすることはなくなり、スターターモーターやバッテリーに優しくなりました。また、高速を連続運転する時や、渋滞している時にもこのファンが役立ちます。

小さな工夫が成果を上げた時は、本当に嬉しいものです。
これも旧車の醍醐味でしょう。

水瀬 涼介

水瀬 涼介ソリューションサービスチームリーダー

投稿者プロフィール

頭のなかにある景色を言葉にしていく楽しさを真花さんに教わり、
「カタチとして残るもの」へのあこがれを抱いてマイカのメンバーに加わった。

趣味は愛する旧車のメンテナンス。
愛車は1971年式のFIAT500-L

●これまでの主な仕事
外資系物流業界に長く従事。システム部、キーアカウント、4PLなど社内のあらゆる部署を経験したオールラウンダー。

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