【小説】天に昇る梯子(楠田文人)

 ほとんどの建物は日常的に屋上を使いません。もちろん屋上に展望台があるので入場券を販売しなければならないとか、太陽光発電パネルを設置してあるのでしょっちゅう雑巾がけが必要であるとか、貯水槽でカワウソが泳いでないか確認する必要があるとか、確固たる理由があれば別ですが、特に用がなければ屋上に昇りません。

 ところが何かの理由で屋上に昇らなければならなくなると、屋根に穴を開けるわけにはいかないため外側から梯子を使うことになります。そしてそれは一時的な理由ではない場合が多いので、常設的に梯子を設置する必要が生じます。

 なるべく短くして、設置コストを低くしようと考えた結果、外側階段上の柱から昇るようにしました。かなり勇気が要ります。

 二階の窓から出て屋上に上がります。身軽かどうかが試されるので入社試験の必須科目になっています。

 屋上に昇ってる間に窓を閉められたらどうするんでしょうね。

 何故ここに設置されたのか謎の梯子です。

 昇るための梯子でしょうか、それとも降りるための梯子でしょうか。誰が使うのでしょう。不思議です。

「ふふふの話5」より

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IT 系コピーライターをしています。お話(電子書籍)も書いています。

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