ダイソン型とマキタ型 コードレススティック掃除機はどう選ぶ?

 「そろそろ掃除機を買い替えるタイミングなら、コードレスで使えるスティック掃除機を選びましょう。スティック掃除機は、小回りが利いてすぐに使えるのが利点。この利点を生かすには、コード付きよりコードレスがお薦めです」(戸井田さん)

 今使っている掃除機がコード付きのキャニスターなら、買い増しするのもいいだろう。コードレスのスティック掃除機のみだと、割れた食器を片付けたいなど、急いで使いたい場合に充電が間に合わないこともあり得る。普段使いとしてスティック掃除機、いざというときはコード付きキャニスターと、うまく使い分けるのが合理的だ。

 今年発売されたスティック掃除機は、コードレスが目白押し。その理由は、「ダイソンの“コードからの決別”宣言で業界に激震が走ったから」(戸井田さん)。これをきっかけに、市場全体が“これからのメインはコードレス”という流れになったという。

コードレスのスティック掃除機の選び方

 ここからは製品選びポイントを考えてみよう。コードレスのスティック掃除機でよく知られているのはダイソンとマキタの2メーカー。ダイソンの魅力は「パワー」、マキタの魅力は「軽量化」と、それぞれ特徴がある。

 「この2社に他のメーカーが追随し、“パワータイプ”と“軽量タイプ”という2つの派閥が生まれたのが今の市場です。今年の夏から秋にかけて発表された新製品は、いずれもこの2つのタイプを意識したものばかり」と戸井田さん。そのうえで、各メーカーが工夫を凝らし、さまざまな特徴をうたっているという。今はまさに、掃除機市場のカンブリア期! 百花繚乱の新製品の中から、自分にあった1台を選びたい。

ダイソンが先行、パワータイプの5製品

 まずはパワータイプから見ていこう。パワータイプの特徴は、なんといっても吸じん力。「より多くのゴミを取り除きたい!」という人にお薦めだ。ただし、重さは2kgを超えるので、使う側にもある程度の“パワー”が求められる。

●「Dyson Cyclone V10 Fluffy」(ダイソン)

 最初に紹介するのは、ダイソンが3月に発売した「Dyson Cyclone V10 Fluffy」。集じん力の高さと連続使用時間の長さを誇る製品だ。コードレスのスティック掃除機の市民権を得たともいえるダイソンは、市場の6割近くのシェアを占めている。

 「Dyson Cyclone V10 Fluffyでは、気流設計を見直し、吸引力をアップしました。ゴミ捨てや本体の手入れ方法などを工夫し、使い勝手も着実に向上しています」(戸井田さん)

●「Shark EVOFLEX S30」(シャークニンジャ)

 シャークニンジャは、日本ではまだ知名度が低いものの、北米で人気が高い米国メーカー。2008年からの10年間で、売り上げ実績は5000万台を突破した。

 今年7月に発売された「Shark EVOFLEX S30」の目玉は、ボタン1つでパイプの中程がぐにゃりと曲がる独自の機能「マルチフレックス」だ。「これによって、立ったままでもソファーやベッドの下などの低い隙間にヘッドが入り込むので、楽に掃除ができます」(戸井田さん)。異なる2つのブラシを搭載した独自のヘッド「DuoClean」も、細かいホコリから大きなゴミまで同時に取り除くという優れものだという。折りたたんだ状態で自立するので、収納性も高い。

●POWER CORDLESS MC-SBU820J-W(パナソニック)

 「POWER CORDLESS MC-SBU820J-W」は、パナソニックが「打倒ダイソン」をコンセプトにパワーと使い勝手の両立を目指して8月に発売した。

 新たに開発した「ハイパワーモーター」で、最大吸込仕事率200Wを実現。大容量リチウムイオンバッテリー8本を搭載し、長時間使用を可能とした。最先端素材で強度を保ちつつ、軽量化にも着手している。「微細なゴミの有無も目で確かめられるセンサーを搭載し、使い勝手も良くなっています」(戸井田さん)。

●CordZero A9 シリーズ(LGエレクトロニクス)

 韓国の総合メーカーのLGエレクトロニクスが7月に発売した「Cord Zero A9 シリーズ」。「超高速回転でパワフルな気流を実現するスマート・インバータモーター、 ハウスダストを除去するアキシャル・ターボ・サイクロンという2つの最先端技術を搭載した独自のシステム“エアロサイエンス”で高い吸引パワーを実現しています」(戸井田さん)。

 スタンド型と伸縮パイプとクリーニングヘッドを取り外したコンパクト型の2つの収納方法が選べる。本体スタンドを使えば、同時に2つの充電池を充電できたり、パイプの長さが調節できたりと、使い勝手に配慮している。

●パワーブーストサイクロン PV-BFH900(日立アプライアンス)

 日立アプライアンスが9月に発売した「パワーブーストサイクロン PV-BFH900」の特徴は、多彩なツールでさまざまな場所を掃除できる“立体掃除”だ。

 「本体ハンドルを握ったまま付属のツールを簡単に着脱できる新『サッと着脱ボタン』を使えば、豊富なツールが手軽に活用できます」(戸井田さん)。押しても引いてもしっかりゴミを吸引できる新「パワフルスマートヘッド」や壁ぎわのゴミも吸い取る「きわぴた構造」に加え、新開発の「小型ハイパワーファンモーターX4」で、コードレスでもメインで使える強力パワーを実現している。収納も工夫し、充電台からワンアクションで使えるスタンド式に変更したのもポイントだ。

打倒、マキタ! 軽量タイプの新製品

 次にご紹介するのは、「打倒!マキタ」とでもいうように増えている軽量タイプの新製品。パワータイプほどの吸じん力は期待できないものの、2kgを切る軽さで使い勝手も工夫されているため、つい掃除がしたくなる。掃除の回数が増えれば、きれいな家を持続させることができるはず。「できるだけ掃除のハードルを低くしたい」という人には、軽量タイプがお薦めだ。

●iNSTICK ZUBAQ(三菱電機)

 出したままでもインテリアになじむのは、三菱電機が10月に発売したばかりのスタンド一体型「iNSTICK ZUBAQ」。パイプ・ブラシを含む重さは1.8kg。

 「アルファベットのQを模したデザインのスタンドで、手前に引くとスティッククリーナーになり、真上に持ち上げるとハンディクリーナーに変身するというというからくりがユニーク」と戸井田さん。すき間ノズルは片手でつけられ、掃除を終えてスタンドに戻すときはクリーナーの向きを変えなくてもT字ノズルが収まる仕組みも使い勝手がいい。排気を活用してゴミを吹き飛ばすエアプローを搭載し、新しいモーターとブラシを開発した。「軽さだけでなく吸引力も備えた、期待の新製品です」(戸井田さん)。

●極細軽量スティッククリーナー KIC-SLDCP5(アイリスオーヤマ)

 アイリスオーヤマが6月に発売したのが「極細軽量スティッククリーナー KIC-SLDCP5」。掃除機にモップが付属し、ホコリを拭き取りながら掃除機をかけられるという画期的な掃除機だ。重さもヘッドやパイプなどを含めて1.4kgと軽い。

 「モップは本体パイブ部分に収納でき、モップに付着したホコリは充電スタンドで吸い取る。アナログな方法ですが、現実的な提案としては説得力があります」(戸井田さん)。DCブラシレスモーターの採用と独自設計のファンで、従来製品より約3倍の吸引力を実現しているという。独自開発の自走式ヘッドは動かしやすく、使いやすい。

●RACTIVE Air EC-AR2SX(シャープ)

 シャープが3月に発売した「RACTIVE Air EC-AR2SX」は“軽さ”に重点を置いて開発された掃除機。素材にドライカーボンを採用したことで、ヘッドやパイプを含む重さは1.5kgに抑えられている。

 「片手で持ち上がるほど軽いため、カーテンレールやタンスの上など、高いところを掃除するときに便利。T字ノズルの着脱がしやすく、立ったままですき間ノズルに替えることもできます」(戸井田さん)。バッテリーは着脱式で、バッテリーのみを充電器で充電できる。付属する2個のバッテリーを併用することで最長60分の長い連続使用も可能だ。

●TC-E261S(ツインバード)

 ツインバードは、「消費者が掃除機に求めているのはきれいな部屋が続くという状態を実現してくれる道具」とし、掃除機が抱える課題として「Maintenance」「Weight」「Usability」「Power」「Design」という5つの要素を挙げている。

 「この5つの要素を満たすため、ゴミ捨てのしやすさ、軽量化、ヘッドの可動範囲、高い吸引力、出したままにできるデザイン”を実現したのが5月に発売した『TC-E261S』です。なかでもデザイン性は高く評価されました」(戸井田さん)。重さもヘッドやパイプを含めて約1.5kgだ。

 掃除機を選ぶとき、意識したいのは自分の掃除スタイル。隅から隅まで徹底的に掃除したいのであればパワータイプ、毎日こまめに掃除したいのであれば軽量タイプというように、スタイルに合わせて掃除機を選ぼう。

(監修/、文/井上真花)

trendy.nikkeibp.co.jp

井上 真花(いのうえみか)インタビュアー

投稿者プロフィール

有限会社マイカ代表取締役。PDA博物館の初代館長。日本冒険作家クラブ会員。

長崎県に生まれ、大阪、東京、三重を転々とし、現在は東京都台東区に在住。1994年にHP100LXと出会ったのをきかっけに、フリーライターとして雑誌、書籍などで執筆するようになり、1997年に上京して技術評論社に入社。その後再び独立し、2001年に「マイカ」を設立。

主な業務は、一般誌や専門誌、業界紙や新聞、Web媒体などBtoCコンテンツ、および広告やカタログ、導入事例などBtoBコンテンツの制作。

プライベートでは、井上円了哲学塾の第一期修了生として「哲学カフェ@神保町」の世話人、2020年以降は「なごテツ」のオンラインカフェの世話人を務める。趣味は考えること。ライフワークは「1000人に会いたいプロジェクト」

井上真花の公式ホームページはこちら

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